内視鏡手術にAI活用 大分大など検証実験成功 摘出臓器判別、医師を補助 20年度、臨床実用化を目指す [大分県]

記者会見で、AIを活用した胆のう摘出手術について説明する大分大医学部の猪股雅史教授
記者会見で、AIを活用した胆のう摘出手術について説明する大分大医学部の猪股雅史教授
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大分大で実施されている内視鏡手術。昨年12月、AIを活用した検証実験に成功した
大分大で実施されている内視鏡手術。昨年12月、AIを活用した検証実験に成功した
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 大分大医学部を中心とする研究グループは、内視鏡を使った胆のうの摘出手術で、人工知能(AI)が執刀医を補助するシステムを使った検証実験に成功した。AIによって切除する部位を判別、視覚化するシステムで、2020年度中に臨床現場での実用化を目指している。

 研究グループは同大のほか、福岡工業大情報工学部(福岡市)、医療用光学機器大手・オリンパスで構成。グループはシステムの特許を出願している。大分大によると、手術の際のAI活用事例は、これまでに把握していないという。

 システムは、内視鏡を通じて体内の臓器の位置をモニターに映し出し、切除する対象の臓器とそれ以外の臓器を、それぞれ四角形の枠で色分けして示す。執刀医が切除する臓器を正確に判断できるようになる。

 今回は、大分大や日本内視鏡外科学会が実施した胆のう摘出手術の約100症例から得た数万枚の手術画像データをAIに学習させて、臓器を判別する精度を高めた。システムを使い昨年12月、同大で50代男性の胆のう手術を実施したところ、切除対象の胆のう管とそれ以外の臓器を正確に示すことができたという。

 同大によると、国内で年間12万件実施されている胆のう摘出手術は、その約90%が内視鏡手術で、切除する箇所を間違えて別の臓器を損傷させる事例が約600件発生している。このうち、約6割が執刀医が切除対象の胆のう管を、隣接する総胆管や総肝管と誤認したミスが原因という。システムが実用化されれば、こうしたミスが減り、安全性の向上が期待される。

 同様のシステムは世界各地で開発が進んでいる。グループは判別率を95%以上に高め、商品化を目指している。今後、臨床現場での検証実験を重ねるとともに、胃や大腸の手術への応用も検討している。大分大医学部猪股雅史教授(消化器・小児外科)は「正確性を高めて、手術の安全性につなげたい」としている。

=2019/01/24付 西日本新聞朝刊=

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