【日日是好日】晴れて羅漢寺二十八世に 羅漢寺住職 太田英華

 今月2、3の両日、羅漢寺二十八世晋山式(しんさんしき)を執り行いました。晋山式とは新しい住職が寺に入り、住職披露をする儀式です。ほぼ2日間を要し、総勢約50人の僧侶と来客約100人が集まりました。

 僧侶にとって一世一代の儀式であり、羅漢寺住職は必ず勤修(ごんじゅ)せねばなりません。準備に要した期間は5年。約150人のお客様をお招きする為に、環境整備や本堂、庫裡(くり)の改修工事などを進めました。

 そして迎えた晋山式は、梅雨入りしたにもかかわらず、風、日差し、温度、湿度が程よく爽やかな晴天に恵まれ、それだけでも感動でした。

 私はこれまで紆余(うよ)曲折の人生を歩んできましたが、一つの事が常に頭の中を離れませんでした。それが仏道だということに気づいたとき、「ここに生まれた意味があるならば、この立場で生きていこう」と決心し、髪を剃(そ)りました。

 雲水となり向かった修行堂場で、「坊さんは生まれ変わることはできないが、出直すことができる」との堂長老師のお言葉にハッとし、勇往邁進(まいしん)の修行生活を送りました。

 尼僧専門の堂場に二十数人の雲水がおり、年齢国籍もさまざま。1日でも早く入堂した人は先輩です。法齢とは僧侶の年のことで、髪を剃ったときがゼロ歳。僧侶になる前の自分を捨て、ゼロ歳になることに努めます。2008年に出家した私は今10歳です。

 そこでは、それぞれの境遇は違えども、同じ釜の飯を喫し、堂長老師の薫陶のもとに同行同修に安居(あんご)した仲間ができました。それが法友です。

 このたびの晋山式では、羅漢寺末山御寺院、近隣の御寺院が来られ、そして尼僧堂の法友が全国から集まってくれました。寺で行う法要は一人ではできません。必ずお手伝いの僧侶を要します。そのお手伝いのことを随喜(ずいき)といいます。もちろんお礼はお渡ししますが、それ以上に参加させていただけるという気持ちが大事だということです。

 ご存じの通り羅漢寺は山の上です。あらかじめ体力を要することを伝えると、事前に体を鍛え、1日最大7往復の上り下りをして働いた法友もおりました。

 晋山式が終わり、お世話になった茶店のおかみさんに電話をすると、「最後に尼僧さんたちがあいさつに来られて感動した。一生懸命でね。ああいう人たちが世の中の人だったら、けんかもしないし平和なのにね」と涙を流して話してくれました。

 曹洞宗開祖の道元禅師は正法眼蔵の中でおっしゃっています。

 「堂中の衆は、乳水の如くに和合して、互いに道業を一興すべし…この衆はながく仏道の友にてあるべし」

 何とも頼もしい法友たちや、様々な方面から支えてくださった皆さまのおかげで無事圓成(えんじょう)した晋山式。さあ! ここからが始まりです。きれいに片付けられ、始まる前よりピカピカになった部屋を見て、改めて「スーパー和合力」の素晴らしさに感動したのでした。

【略歴】1967年、羅漢寺27世住職の娘として生まれる。高校卒業後、大学進学のため上京。20代半ばから40歳で出家するまでフラメンコダンサーとして活動。出家後、愛知県の尼僧専門修行道場で約5年間、僧堂修行し、2013年3月に帰山。現在、羅漢寺28世住職として寺を守る。

=2018/06/10付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]