【意見】進むメカニズムの解明 町田正博氏

九州大理学研究院准教授 町田 正博氏 
九州大理学研究院准教授 町田 正博氏 
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◆星と惑星の誕生

 1995年、太陽系外で初めて惑星が発見された。以後、現在までに見つかった系外惑星は3千を超えており、多種多様な惑星系が存在する。95年以前に人類が認識していた惑星系は太陽系のみであったことを考えると、現在の惑星や惑星系に関する知見は以前のそれとは大きく異なる。今では惑星系を持つ恒星は珍しくなく、太陽系も多種多様な惑星系の一つにすぎないということが分かっている。

 このように多くの惑星系が発見されると次に興味を抱くのは、多種多様な星や惑星系がどのようにして誕生したのかということだ。2013年に南米チリのアタカマ砂漠にALMA望遠鏡が完成した。ALMA望遠鏡は、口径12メートルのアンテナ54台と、口径7メートルのアンテナ12台の合計66台を結合させて一つの巨大なアンテナとして運用するというものであり、人類史上最大の望遠鏡である。2~3年前からこのALMA望遠鏡の性能を最大限に引き出した観測が行われており、現在そのデータが解析されつつある。

 解析されたデータから宇宙で起こる様々な現象が解明されている。特に星や惑星系の誕生についての理解はここ数年で飛躍的に進展した。ALMA望遠鏡の完成以前は、星や惑星が誕生している領域を精度良く観測することが困難であったため、主に物理学の理論や数値シミュレーションによって星や惑星形成を理解する研究が行われていた。

 筆者も主に物理学に基づいた方程式をスーパーコンピュータで解く数値シミュレーションによって、星や惑星が誕生する過程を解明する研究を行ってきた。これは、コンピュータの中に疑似的に宇宙を再現し、それを観測する(見つめる)ことによって星や惑星の誕生を理解するという手法である。しかし、今や、ALMA望遠鏡によって星や惑星が誕生する現場を直接見ることが可能となった。近年のALMA望遠鏡での観測はこれまで行われてきた数値シミュレーションと驚くほどの一致を示しており、惑星系が普遍的に誕生しうることや、星が誕生する際にはその産声ともいわれるガスの大規模な噴出現象が起こることも詳しく調べられた。

 現在、ALMA望遠鏡の観測と大規模数値シミュレーションによって、星や惑星の誕生するメカニズムが解明されつつある。今後さらなる観測装置とコンピュータの発展により太陽系外の地球型惑星の形成進化や系外生命探査、また生命が誕生する条件などの研究が活発になると考えられる。生命体が宇宙に普遍的に存在することが示されれば、我々(われわれ)人類が抱いている宇宙や生命に関する認識が再び揺り動かされるだろう。

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 町田 正博(まちだ・まさひろ)九州大理学研究院准教授 国立天文台助教を経て、2011年から現職。専門は宇宙物理学。主に数値シミュレーションを用いて星や惑星の形成を解明する研究を行っている。


=2018/01/12付 西日本新聞朝刊=

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