未来の担い手育成が重要 山下永子氏

九州産業大地域共創学部地域づくり学科准教授 山下永子氏
九州産業大地域共創学部地域づくり学科准教授 山下永子氏
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◆学生と地域

 18歳人口が減少し始める「大学の2018年問題」に相対する年度が始まった。これまでも大学の生き残りをかけた挑戦がさまざまな分野で繰り広げられてきた。その大きな舞台の一つが地域である。

 特に地方私立大学に関しては、この問題は単なる一法人の経営課題ではなく、地域の持続的発展にかかわる課題として認識されている事にも留意しなければならない。地域から大学が消滅することの影響の大きさは、相次ぐ私立大の公立化の動きからも計り知れる事だ。

 地方の私立大は、これまで地域で果たしてきた役割や成果を見つめ直し、学生とともに地域将来の創造を目指した新たな取り組みに着手する必要がある。地域連携強化、学部再編など、大学が手掛ける打ち手はさまざまだ。しかし、最も大切な支柱とされるべきは、地域の担い手の育成、つまり教育と考える。

 今春、九州産業大は、地域共創学部地域づくり学科を新設し、地域の将来に向けた教育に正面から取り組み始めた。うれしいことに、早速新入生から、「若い世代に、地域創生への意欲が高まってきている」という希望を感じる事ができた。「過疎だ衰退だ、と言われても、私たちは、生まれ育ったところを元気にしていきたい!」。そんな熱い思いを声にする18歳を前に、「やれる」との確信を持った。

 地域の担い手の育成には、「『地域づくり』『まちづくり』って、誰かがやってくれるものではない。自分たちが一緒にやるものなのだ」。まずは、この事を理解し「じゃあ、自分はどういうことを考え、誰と、どんな風に、動こう」。そんな気づきを喚起し、心に定着させていく事が大切だ。そういったことを伝えていける意欲ある学生たちに期待している。

 このやる気の土台があって、初めて専門分野の学習や、地域活動が生き始める。これから学生は「地域、現場に出よう」を合言葉に、リアルを実感できる現場を訪れ、ロールモデルと出合いながら育っていくだろう。

 だが、大学だけでは地域の将来を創る学生を育てる事は不可能だ。地域のいろんな方々の力を借りつつ、参画型、実践型、双方向型の学びムーブメントを起こしていくことが望まれる。地域の方々からの積極的な提案や声掛けに期待したい。

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 山下永子(やました・えいこ)九州産業大地域共創学部地域づくり学科准教授 1967年生まれ、福岡県久留米市出身。熊本大大学院修了(博士)。専門は地域マーケティングなど。九州産業大語学教育研究センター所長を兼任。

=2018/05/13付 西日本新聞朝刊=

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