家庭の課題「気づきの拠点」へ 原田昌樹氏

NPO法人理事長 原田 昌樹氏
NPO法人理事長 原田 昌樹氏
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◆子ども食堂の未来

 子ども食堂は2018年3月で全国に約2300カ所あり、ここ2年で7倍に増加した。運営に関わっておられる多くの方が「深刻化する子どもの貧困を何とかしたい」という思いに突き動かされて始めた。しかし「子ども食堂に行く=貧困家庭の子」とのイメージが定着したのも確かだ。その払拭(ふっしょく)に子ども食堂は取り組み、「誰でも来られる地域の居場所」として幼児から高齢者まで参加を呼び掛け、全国に広がっている。

 私自身、子ども食堂を「社会的な家族の居場所」と定義し、子どもの育成は親に自己責任を問うのではなく、社会責任として地域で取り組まなければならないと感じている。なぜなら地域での孤立化が深刻化し、親自身も孤立しているからだ。社会的な家族の居場所である子ども食堂はすべての校区に存在するほど、当たり前のインフラになることが不可欠だと考える。

 子どもの貧困問題は待ったなしで目の前に今もある。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、過去最悪だった12年調査から改善したとはいえ、7人に1人が貧困状態にあり、ひとり親世帯においては50%を超えている。

 子ども食堂は、子どもの貧困に対してどう貢献できるかを忘れてはいけない。「気づきの拠点」として大きな役割を担っているからだ。子ども食堂が誰もが利用でき、安心できるもう一つの家族の居場所となった時、課題を抱えている親子が見えてくる。そこから包括的支援にどうつなげるかが今後のテーマとなる。

 子ども食堂の開催が月1回でも、食卓を地域の大人や友人と一緒に囲みながら、家族的雰囲気の中で過ごせる「安全基地」としての役割も担っている。ボランティアたちが愛情を注ぎ、親や兄弟の代わりとして家庭教育の一端を担い、あいさつやみそ汁づくり、食器を洗う習慣などを教える。高齢者が参加することで、おばあちゃんやおじいちゃんと暮らした経験がない子どもたちも、いたわりの気持ちが育まれる。

 将来を見据えた時、子ども食堂は子どもの育成を中心に置き、多世代が交流する地域コミュニティーのプラットフォームとして、また子どもの貧困の連鎖をストップさせる気づきの拠点としてさらに発展した姿に成長し、どこにでもある大切な場所となっていることを強く期待している。

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 原田 昌樹(はらだ・まさき)NPO法人理事長 1965年生まれ、北九州市出身。NPO法人フードバンク北九州ライフアゲイン理事長。2013年に同法人を立ち上げ、幅広い支援活動を行う。北九州希望の光キリスト教会牧師。

=2018/07/08付 西日本新聞朝刊=

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