日常での管理徹底が重要 高以来憲一氏

福岡県警察本部生活安全部 生活経済課次席兼管理官 高以来 憲一氏 
福岡県警察本部生活安全部 生活経済課次席兼管理官 高以来 憲一氏 
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◆営業秘密保護対策

 2015年、企業情報(技術情報、顧客情報等の「営業秘密」)の漏えい防止を図るために、不正競争防止法の一部改正がなされた。それに伴い取り締まり強化や企業・関係省庁との連携強化を目的に、全国の警察において営業秘密保護対策官を指定した。任務は営業秘密侵害事犯に関する被害相談に対する指導、企業が集うセミナー・会合への参加、同事犯捜査の事件指導等に従事することである。私は16年と今年、指定された。

 全国における相談は増加傾向にあり、16年(35件)と17年(72件)では倍増した。検挙も13年5事件、15年12事件、17年18事件と増加し、社会一般の認知度、各企業への浸透度が高まっていることを表している。17年中、福岡県内では、健康食品会社の従業員らが顧客名簿を無断でコピーして退職、別会社をつくって流用した事件や、銀行員が高額預金者のリストを作成して窃盗グループに渡した事件があり、いずれも有罪判決が出されている。

 営業秘密には顧客情報、技術ノウハウなどがあるが、一度漏えいすると資産としての価値が失われるだけでなく、企業経営にも致命的な影響をおよぼしかねない。まず何が重要な情報かを社内で見直し、秘密として保持するものを明らかにし適切な漏えい防止策を講じていただきたい。

 警察から見た流出防止策は、日常での管理の徹底が最も重要である。営業秘密とそれ以外の情報をしっかり区分する、アクセス状況を記録するという措置は、万一漏えいした場合、秘密管理性の認定に役立つと同時に、漏えい事実の裏付けにもなる。そして、こうした措置を施していることを社員が理解し、「黙って持ち出せない」「持ち出してもばれる」という感覚を持たせることも防止策になる。

 認知時の初動措置については、事実関係の調査と対象者の事情聴取を進めても構わないが、無理をしないよう配慮をお願いしたい。事件化を望むなら、立証には「秘密管理性」「有用性」「非公知性」の3要件が必要になる。営業秘密の侵害に当たるか否かの判断にはアクセスログ、メール、聞き取り等の資料を確保することが重要となる。速やかに不正競争防止法の捜査を担当する部署へ相談してほしい。

 警察としても「営業秘密の侵害を断固として許さない社会」の実現のため、企業の皆様と連携強化を図っていく。理解と協力をお願いしたい。

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 高以来 憲一(たかいら・けんいち) 福岡県警察本部生活安全部 生活経済課次席兼管理官 1963年生まれ、長崎県出身。警視。85年、福岡県警察に採用される。博多警察署生活安全管理官、生活保安課生活経済対策室管理官、八幡西警察署副署長を経て現職。

=2018/07/15付 西日本新聞朝刊=

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