自主避難は「本人の責任」 復興相発言波紋 野党反発「資質に欠ける」

 東京電力福島第1原発事故に伴う自主避難者について「本人の責任」とした今村雅弘復興相(衆院比例九州)の発言を巡り、野党は5日、「被災者に寄り添っていない」などと批判した。国の責任をただす記者に激高したことに対しても「閣僚としての資質に欠ける」と反発。国会審議で問いただす構えだ。

 民進党の榛葉賀津也参院国対委員長は、5日の記者会見で「古里に帰りたくても帰れない自主避難者の心をどれだけ傷つけたか。怒りを覚える」と非難。社民党は安倍晋三首相に今村氏の罷免を求めた。

 共産党の穀田恵二国対委員長は、今村氏が3月のテレビ番組で「古里を捨てるのは簡単だが、戻って頑張っていく気持ちを持ってほしい」と発言したことを挙げ「自主避難者を考える基本がずれている」と閣僚の資質に疑問を呈した。

 今村氏は4日の会見で、記者が自主避難者に対する国の責任を質問したのに対し、政府が住宅移転補助金などで帰還を支援してきた経緯を踏まえ、「基本的に本人が(帰還を)判断することだ」と指摘。自己責任論を唱えた。

 自主避難者は、国が設定した避難指示区域以外から避難した住民。福島県によると、昨年10月末時点で約2万6千人に上る。同県は3月末、国との協議の末、避難者への住宅の無償提供を打ち切った。

 ただ、避難指示区域は原発が立地する双葉、大熊町の帰還困難区域などに限られている。避難指示区域以外でも、放射線による健康被害への不安は強く、社会インフラ整備も遅れている。住環境は極めて厳しいのが現状だ。福島県いわき市から都内に自主避難している男性は「自宅は放射線量が高く、2人の子どもを帰せない。好んで避難しているわけではない」と憤った。

 今村氏が会見で記者に「出て行きなさい」などと声を荒らげ、約8時間後に謝罪したことにも批判が高まる。民進党の小川敏夫参院議員会長は「記者は事実を報道するためにやっている。気に入らないから『出て行け』というのはあまりにひどい。政権の本質を表している」と非難。公明党の井上義久幹事長も、自民の二階俊博幹事長らとの会談で「大臣は会見で冷静に対応してほしい」と苦言を呈した。

 菅義偉官房長官は会見で「与党からの指摘も受け止め、閣僚として職責を果たしてほしい」と辞任を否定した。

   ◇    ◇

 4日の記者会見での主なやりとり

 -福島県と避難先自治体に住宅問題を任せるのは国の責任放棄ではないかという気がするんですけども。

 「福島県が一番被災者に近いわけですから、そこに窓口をお願いしているわけです。われわれもサポートしながらやっていく」

 -国が率先して責任を取る対応がなければ、福島県に押しつけるのは絶対無理だと思うんですけど。

 「福島県民の一番親元である福島県が中心になって、寄り添ってやっていく方がいいだろうと。国の役人がやったってしょうがないでしょ」

 -大臣ご自身がなぜ帰れないのかという実情をご存じないからじゃないでしょうか。それを人のせいにするのは…。

 「人のせいなんかしてないじゃないですか」

 -帰れない人はどうするんでしょうか。

 「どうするって、それは本人の責任でしょう。もう本人の判断でしょう」

 -自己責任だとお考えですか。

 「そりゃ基本はそうだと思いますよ」

 -自主避難の人にはお金は出ていません。

 「どういう意味でやっているのか知らないけど、ここは論争の場じゃありませんから」

 -責任を持って回答してください。

 「責任を持ってやっているじゃないですか。何て君は無礼なことを言うんだ。ここは公式の場なんだよ」

 -そうです。

 「撤回しなさい」

 -撤回しません。

 「しなさい。出て行きなさい。もう二度と来ないでください、あなたは」

 -避難者を困らせているのはあなたです。

 「うるさい」

=2017/04/06付 西日本新聞朝刊=

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