三反園氏支える「前知事よりまし」 鹿児島知事就任1年、公約は軒並み後退

地元の祭りに出席し、記念撮影に応じる三反園訓知事(中央)=23日、鹿児島市
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 鹿児島県初の民間出身知事の三反園訓(みたぞのさとし)知事は28日、就任1年を迎える。自民、公明両党の支援を得て4選を目指した現職を破り全国的な注目を集めたが、目玉の「脱原発」は急速に色あせ、期待感は薄れつつある。フットワークの軽い「対話の県政」を好感する声はあるものの、他の公約も進展の乏しさは否めず、多くの県民はなお知事の真価を見定めようと目を凝らす。

 「そういう話はみんなの前でしないでください。言わないでほしい」

 今年6月、鹿児島市内のホテル。日本商工会議所の懇親会に駆け付けた三反園知事は、九州電力川内原発(薩摩川内市)の稼働容認を日商幹部に持ち上げられると、慌てて言葉を遮った。

 当選直後、九電社長に川内原発の一時停止を2度迫ったが、三反園知事はその後、県が設けた原発の安全性を検証する専門委員会の意見を後ろ盾にする形で、「九電に強い対応を取る必要はない」と稼働容認に転じた。

 知事選で手を組んだ反原発派の多くは「裏切られた」と憤る。それでも一部に擁護する人はいる。知事は反原発派の有力支援者に「ぶれていない」とメッセージを送りもした。支援者の一人は「原発推進が際立った前の知事よりはるかにまし。脱原発を進めてくれると信じている」。

▼「話しやすい」

 逆風にさらされた知事が仕掛けたのが、メディア出身という自身の強みを生かす組織改編。4月、県産品や観光資源をPRする「PR・観光戦略部」を新設し、県庁の「筆頭部」に位置付けた。

 「鹿児島の産品を売って売って売りまくる」。トップセールスを公約に掲げ、フェイスブックで毎日の動きを発信。22日に放送された地元テレビ番組では、フリップボードを手に子育て施策を紹介した。知事と語る「車座対話」に出た南さつま市の旅館おかみの松木田亜寿沙さん(39)は「話しやすい人だった」。

 東大卒の元官僚で「上から目線」と評された前知事と異なる親しみやすさ。巧みなメディア戦略は宮崎県の東国原英夫元知事と重なり、多くの県内首長も評価する。

 ただ、その姿勢は批判勢力からの「逃げ」のようにも映る。ある首長は「批判を聞かないうちは生徒会の政治ごっこ」と手厳しい。

▼答弁は事務方

 原発以外の公約はどうか。「ドーム球場を造ることは鹿児島に自信を取り戻すことになる」と就任会見で語った構想はトーンダウン。「実現可能か検討する」

 最も力を入れるとした子育て支援では、九州7県で唯一導入されていない乳幼児医療費の窓口一時支払い無料化について、来年10月実施の方針を表明した。

 だが対象は公約の「完全ゼロ」ではなく、住民税非課税世帯の未就学児に限定。知事は「理想と現実がある」と言うが、長年導入を要望し、知事に期待した40代女性は「全世帯が対象だったはず。だまされたとは思いたくないが…」。

 4月、母校の指宿高校で後輩たちに「政治家は言葉が命」と語った三反園知事。公約に転換があれば言葉を尽くし説明すべきだが、県議会の答弁は事務方に任せるケースが目立つ。

 「知事は県民の漠とした期待に支えられている」と県議の一人。期待をつなぎ留められるか、真価が問われる2年目に入る。

=2017/07/24付 西日本新聞朝刊=

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