【解説】森友文書改ざん問題 「安倍1強」のひずみ露呈 

 【解説】麻生太郎財務相は12日の記者会見で、森友学園の公文書改ざん問題について「理財局の一部の職員により行われた」と述べ、財務省に責任を押し付けた。だが、財務省に改ざんを行うメリットはない。その背景に、森友問題への関与を否定する安倍官邸への「忖度(そんたく)」があったのではないかとの疑念が膨らむ。官僚の人事権を掌握することで築いた「安倍1強」の在り方が問われている。

 政策決定過程などの歴史的記録である公文書の改ざんは、民主主義の根幹を揺るがす行為だ。財務省は、改ざんの理由を佐川宣寿前理財局長の国会答弁と合わせるためと説明した。では、なぜ佐川氏は公文書と異なる国会答弁をしたのか。

 安倍晋三首相は昨年2月の国会答弁で「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と述べた。昭恵夫人は森友学園が計画した小学校の名誉校長を一時引き受けていた。佐川氏には、昭恵氏を含む首相周辺の関与を否定しなければならないという、首相への忖度があったのではないか。

 首相は2014年、内閣人事局を立ち上げた。府省庁の幹部約600人の人事を官邸が一元管理し、政治主導を強める狙いだった。ただ、副作用として官僚が官邸の意向を推し量って先回りする「忖度政治」が横行することへの懸念も当初から指摘されていた。

 首相の友人が理事長を務めた加計(かけ)学園の獣医学部新設問題でも、官邸側が「総理のご意向」を背景に文部科学省に認可を急ぐよう迫ったとする文書が見つかった。「安倍1強」の長期政権がこうした行為をもたらしたとすれば、まさに政治の責任といえる。

 公文書の改ざんは国民への重大な背信だ。政府は誰が、何のために前代未聞の改ざんを行ったのかを解明し、国民に説明する責任から逃げてはならない。

=2018/03/13付 西日本新聞朝刊=

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