【政治考】長期1強で危機管理にも慢心か

 「安倍1強」が5年半続き、危機管理に慢心が生まれているのではないか。西日本豪雨への政府の初期対応を見ると、そう思わざるを得ない。

 大雨への警戒が続いていた5日夜、災害対応の先頭に立つべき安倍晋三首相や小野寺五典防衛相ら約50人の自民党議員は、都内の衆院赤坂議員宿舎で開かれた宴会「赤坂自民亭」で酒を酌み交わしていた。

 政府の危機管理を担当する西村康稔官房副長官は自身のツイッターに、首相らが酒杯を掲げる集合写真とともに「写真を取り放題!」などと投稿。約50分にわたって滞在した首相は帰り際、記者団に「和気あいあいで良かったですよ」と語った。

 だが、当時は京都市などで避難指示が出され、気象庁は緊急の記者会見で「記録的な大雨の恐れがある」と警戒を呼び掛けていた。ネット上に投稿された首相らの「和気あいあい」写真を見て、果たして国民はどこまで緊張感を持てるだろうか。

 これまで安倍政権は、災害などへの危機管理には神経をとがらせてきた。2016年の熊本地震では、首相は官邸で連日開いた会議で、人命救助から避難所への簡易トイレの手配に至るまで自ら指示。取材にもたびたび応じ、カメラに歩み寄って「被災者支援に全力を挙げる」と語ったこともあった。

 今回も被害が拡大した7日以降は毎日、官邸で対策会議を開催。首相は11~18日の外遊を中止し、被災地を視察する考えを示した。こうした対応が、世論を意識してのものだとは思いたくない。

 赤坂自民亭は、秋の自民党総裁選に向けた首相の支持固めの意味合いもあるとみられている。目前に迫る「政治決戦」に気を取られ、不安におびえる住民の姿が想像できなくなっていたのかもしれない。

 「国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは政府の最大の責務だ」。首相らがたびたび使ってきた言葉だ。災害対応に当たり、この言葉の重みを改めて思い起こしてほしい。

=2018/07/11付 西日本新聞朝刊=

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