沖縄知事選、日本映す「二つの分断」

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非を争点とする知事選は、30日の投開票に向けて熱を帯びている。現場を歩いて感じるのは、沖縄を巡る「二つの分断」だ。

 辺野古沿岸部に立つ反対派のテント村。戦争で祖父を亡くした那覇市の女性(67)は「戦争の拠点になるかもしれない基地を将来に残せない」と眉をひそめた。普天間飛行場に隣接する沖縄国際大で出会った男子学生(20)も基地の返還を望んでいた。ただ「米軍機は当たり前に飛んでるし、基地が迷惑という感覚はあまりない。激しい抗議活動にはちょっと引く」との思いも口にした。

 地元紙の琉球新報が昨年4月に復帰45年にちなんで実施した県民意識調査では、沖縄への米軍基地の集中について、10代の53%が「やむを得ない」と答えている。若者には基地の整理縮小が進まないことへのあきらめや、生まれたときから続く論争による「基地疲れ」が広がっており、世代間の溝を生んでいる。

 もう一つは沖縄と本土の意識の落差だ。

 日本が主権回復した1952年、本土の米軍基地面積は約13万5千ヘクタールで当時の沖縄の8倍以上あった。現在は整理縮小が進み、約7800ヘクタールまで減少。米軍による事件・事故が問題になることはほとんどない。経済成長を遂げた本土では、日米は対等な同盟関係との意識が定着した。

 一方、沖縄には今なお約1万8500ヘクタールの米軍基地が残る。国土の0・6%に米軍専用施設の70%超が集中する偏在ぶりだ。米軍ヘリがごう音とともに頭上を横切っていくのが日常である沖縄には、占領の「残滓(ざんし)」が色濃く存在し、対等な関係とは程遠い。

 日米同盟の果実を享受した本土と、その負の側面を一身に背負わされている沖縄。テント村の女性は「沖縄差別」と表現した。

 安倍晋三首相は4年前、移設反対を掲げて就任した翁長雄志知事との面会を4カ月間も拒み続けた。今回の知事選で、移設推進の安倍政権が推す候補の陣営関係者は「若者は対立を好まず、新しい沖縄を築きたいと思っている。年配者の基地反対は変わらない」と話す。「分断」の背景には、異論と向き合おうとしない政権の姿勢があるような気がしてならない。

 「なぜ沖縄ばかりが問われるのか」。取材中、ある男性から投げ掛けられた言葉だ。基地問題が問うているのは、沖縄県民が県内移設を受け入れるか否かではない。沖縄にばかり過重な負担を強いている「戦後日本の姿」そのものだろう。

=2018/09/24付 西日本新聞朝刊=

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