賃金上昇率を下方修正 毎月勤労統計不正で再集計 昨年分、最大0.7ポイント 過大な経済指標明白に

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 毎月勤労統計の不正調査問題で、厚生労働省は23日、本来の正しい数値に近づけるためのデータが残っている2012年分以降の再集計値を公表した。統計上の現金給与総額を全ての月で修正し、18年1月以降の伸び率(賃金上昇率)は従来の公表値から最大0・7ポイント下方修正。同月から本来の調査の数値に近づける補正をひそかに行った結果、アベノミクスの成否を占う重要な経済指標が過大になっていた実態が改めて浮かび上がった。

 この統計では従業員500人以上の大規模な事業所は全て調べるルールだが、04年から東京都分を3分の1に絞って調査。中小企業より賃金が高い傾向にある多くの大企業が調査から抜け落ち、統計上の賃金額が本来より低くなっていた。

 このため厚労省は、補正に必要な資料が残る12年までさかのぼって数値を再集計。この結果、18年1~11月の賃金上昇率は公表値より0・1ポイント~0・7ポイント低い0・2~2・8%に落ち込んだ。厚労省が「21年5カ月ぶりの伸び」としていた6月の公表値3・3%も、2・8%になった。賞与などを除く給与額ベースの上昇率も0・3ポイント前後下落。18年1月以降の公表値は補正済みの金額と、補正せず低いままの前年の金額の比較で算出していたため、上昇率が過大になっていたことが裏付けられた。

 ただ再集計後の賃金上昇率は、昨年1月に統計の作成手法を変更し算定用データを更新するなどした要因でも数値が押し上げられている。このため、変更の影響を除いて算出される「参考値」(0・1~1・4%)が実勢に近い。公式統計値が実勢より高い異常な状況はなお続くことになる。

 厚労省は04~11年は必要な資料を廃棄、紛失したため「再集計が困難」と主張している。11年より前にさかのぼって再集計すれば、18年1月以降の賃金上昇率も変動する可能性がある。今回の問題の悪質性を踏まえ、専門家からは「厚労省が意図的に廃棄などしていないか検証すべきだ」との声も上がる。

 この問題を巡っては24日、国会の衆参両院で閉会中審査が開かれる。政府、与党は早期幕引きを図るが、野党は賃金上昇率が過大になっていた経緯も含め徹底追及する構えだ。

=2019/01/24付 西日本新聞朝刊=

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