■1区■ 一騎打ち読めぬ風向き ■2区■ 残る「遺恨」保守層分裂

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 衆院選は10日公示、22日投開票される。県内は区割り改定で小選挙区数が5から4に1減。各選挙区の構図を探った。 (敬称略)

 秋雨の2日朝、カッパ姿で熊本市の街頭に立った自民前職木原稔は、政権与党の実行力を訴えた。「間もなく仮設住宅の1年延長が決まる。これからも予算編成や税制改正で熊本地震復興の役に立ちたい」

 木原は、希望の党から出馬する民進系の前職松野頼久と議席を争う。ともに改憲論者。松野が保守を掲げる希望公認となり、一層違いが見えにくくなった。

 松野は街頭で、消費税増税の是非を対立軸にしようと腐心する。「自民は消費税を10%に引き上げる。われわれは8%に据え置く。どちらを選ぶかを問う。分かりやすい」

 2人の対決は5度目。2勝2敗で直近2回は木原が連勝した。今回は民進、共産、社民が候補者を一本化し、初の一騎打ちとなる公算が大きい。共産候補も加わり三つどもえとなった2014年の前回衆院選で、木原と松野の差は約1万4千票。松野と共産候補の得票を合わせると、わずかに木原を上回る。

 ただし、民進の希望への合流で、野党勢力は一枚岩になりにくくなった。「党員は野党共闘の重要性を理解しているが、希望が自民の補完勢力に映るのも事実」(共産県委員会幹部)。連合熊本にも、民進系候補を憲法観などで選別する希望の手法に不信感もある。

 木原も友党の公明党と、微妙な立ち位置にある。陣営は「主張が縛られる」として、県内の自民候補で唯一、推薦を求めなかった。県内の小選挙区は今回、区割り変更により選挙区が1減。旧4区の前職が九州比例に回ったこともあり、「比例は公明」と訴えにくい事情もある。

 九州比例4議席の死守を目指す公明は、県内で有権者が最も多い熊本市での上積みに懸命だ。前回1区で約2万6千の比例票を得た公明。県本部の幹部は「推薦という縛りがないということは、いろいろな形で支援を拡大できる」と松野の支援にも含みを持たせる。

 両陣営の最大の関心は、小池百合子東京都知事が吹かせた中央発の突風が地方に及ぶか。公示まで5日。関係者は「まだ読めない」と声をそろえる。


 「熊本2区は世代交代の選挙だ」

 4日夜、元自民衆院議員林田彪が無所属新人西野太亮の集会に福岡県から駆け付け、当選15回のベテラン自民前職野田毅への対抗心をあらわにした。

 林田は、野田が自民を離党していた1996年に対抗馬として自民公認で2区に出馬。野田の復党後は、交互に選挙区と比例代表に回ってきた。前回は野田が党内の比例代表「73歳定年制」に該当。林田が2回続けて比例に回り、2014年は落選の憂き目を見た。支持者は「野田に協力したのに悔しい。今もわだかまりは残っている」と明かす。

 西野は「日本の政治を長年担ってきたのは自民党」と訴え、陣営は古賀誠元幹事長の後押しもアピールする。保守層への浸透を図る一方で「政策的には前職(野田)と極端な差はない」と争点づくりに苦心する。

 野田は、自民の県選出国会議員団長として熊本地震からの復旧に奔走したことや、党税調最高顧問の実績を前面に打ち出す。一時、希望の党から元県議が立候補の意向を表明し「西野陣営が票を減らす」と見立てていたが、元県議は東京7区に転出。陣営幹部は、同じ財務省出身ながら若い西野を意識し「保守票が割れるのを覚悟し、これまでにない危機感を持ってやる」と表情を引き締める。小学校区ごとにつくる約40の後援会や推薦団体などを通じて支持固めを徹底する。

 4日夜、野田は地元の熊本市南区天明の集会に参加し、古くからの支持者と握手を重ねた。手応えを問う報道陣を「まだこれから。ベストを尽くす」と遮り緊迫感を漂わせた。

 社民新人和田要は、玉名市の大学で社会福祉を教えた経験があり「教え子や地域との縁がある2区で戦いたい」と話す。全国に先駆けて県内で成立した民進と共産との「野党共闘」を追い風に「秘密保護法や共謀罪を押し通した安倍政権を止めたい」と主張、リベラル系の受け皿を目指す。

 政治団体「幸福実現党」の新人木下順子は、昨年の参院選熊本選挙区に続き国政に挑む。憲法改正などを訴えている。

=2017/10/06付 西日本新聞朝刊=

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