公示後初の週末・選挙区ルポ

イベントで支持を訴える長崎1区の候補者
イベントで支持を訴える長崎1区の候補者
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 衆院選(22日投開票)は中盤に入り、公示後初の週末となった14日、長崎1~4区の候補者は支持を広げようと選挙区を駆けた。有権者の「1票」はどう動くのか。現場を追った。 (敬称略)

■1区 「互いの悪口見苦しい」 店主、与野党に苦言

 正午すぎ、長崎市を流れる中島川の鉄橋(てつばし)で共産新人牧山隆がマイクを握った。「安倍政権の暴走を許してはいけない」。力強い声に支持者約150人が「よしっ」と応じる。午後1時。入れ替わりで陣取った希望新人西岡秀子も、森友、加計(かけ)問題の「疑惑」に触れない首相の姿勢を批判した。

 この場所では前夜、共産、希望双方が名指しで批判した首相安倍晋三が演説。千人超の聴衆にアベノミクスの実績を披歴し、政権運営の継続を訴えた。安倍は「政権を奪還した2012年は工場がどんどん閉まる、若い方の就職が決まらない時代だった」と、野党を皮肉るのも忘れなかった。

 各種選挙で常に演説の舞台となる鉄橋。そのたもとで雑貨店を営む60代女性は耳が肥えている。1区でしのぎを削る3党に向けて「相手の悪口を言うのは見苦しい」と注文。安倍に関しては「話はうまい。でも(聴衆に)熱気はなかったね」と付け加えた。安倍が言う経済成長の果実を、地方はまだ実感できていない。

 各社の世論調査結果は自民と希望の激戦を伝える。自民は医師会などの団体票を、希望は労働組合票を固めつつあり、陣営の視線は無党派層に向けられる。

 午後2時、希望の西岡が市内の新大工商店街に現れると、商店主らは温かく迎えた。腰をかがめ、つえを突く高齢者が手を振って近づく。「娘さんやろ?」。参院議長を務めた亡父の“存在”は今も大きい。

 1時間後、同じ場所に自民前職冨岡勉の姿が。商店主らは同様に対応してみせた。60代の男性店主は「商売をしていたら、みんなに頑張ってと言うしかない」。夕刻、雨が降る中での演説を終えた冨岡は報道陣に「手応えを感じ始めた」。

 だが、冨岡との握手に応じた40代の会社員男性は「衆院選の構図は安倍対小池(希望代表小池百合子)。どちらの政策が正しいのか判断できていない」と話した。投票する候補はまだ決めていないという。

■2区 有権者の3割、諫早の攻防が激化

 14日午前8時すぎ、諫早市の住宅街に候補名を連呼する声が響いた。選挙カーの助手席で自民前職加藤寛治が手を振る。車1台がぎりぎり通れるような斜面地の道にも入り込む。家の中から顔を出した高齢男性や農作業中の夫婦が手を振り返した。「うれしいね」。加藤は笑顔を見せた。

 2区の有権者は約30万4千人。このうち諫早市が3割強を占める。ほぼ同数の島原半島が地盤の加藤。前回、前々回と小選挙区を制したが、前回の諫早市の得票は野党候補に競り負けた。3選を目指す加藤は、毎夜開く個人演説会の半分を諫早に割く。「県議を含め11回目の選挙。危機感は常に抱いている」。

 同市内を走る希望新人山口初実の選挙カーが、加藤の車が通った同じ国道を1時間後に走り抜けた。「地元の山口です」。町議や市議を務めた諫早の地。“地元”の言葉に力がこもる。

 事務所で昼食を終えた山口は「諫早では負けられない」と緑のネクタイを締め直した。緑は希望の党のイメージカラー。「妻が買ってくれた」と照れてみせた。工業団地での演説では、従業員約80人を前に「希望の党で出ています。ご承知おきを」とアピールした。

 だが横に並んだ連合幹部は「政党名は別として信頼できる人だ」と支援を要請。民進党から希望に移った山口。陣営幹部は「希望の風は当初ほど強くない」と実感する。揺らぐ新党の看板を背に、丁寧な「地上戦」で議席を目指す。

 共産新人近藤一宇もこの日、2区の主戦場である諫早市を遊説。「9条改悪反対」などと力説し、党への支持を呼び掛けた。

=2017/10/15付 西日本新聞朝刊=

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