子育て論戦終始低調 貧困家庭の思い政治に届くか

子ども食堂で手巻きずし作りを楽しむ子どもたち
子ども食堂で手巻きずし作りを楽しむ子どもたち
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 政党の枠組みを巡る混乱が公示直前まで続いた衆院選。そんな中で各党が掲げた公約には教育の「無償化」という文言が並んだが、教育施策の具体的な論戦は県内でも低調なまま投開票日を迎えようとしている。悩みを抱える子育て世代の思いは政治に届くのか-。

 平日の午後7時前、県内にある公共施設の一室が、作りたての料理の香りで満ちた。制服姿の男子中学生が、炊き込みご飯やうどんを次々とほおばった。

 経済的に苦しい家庭を支援するため、昨秋オープンした「子ども食堂」。小学生から高校生までが利用し、20人が集まることも。親が仕事で忙しい子どもに1食100円で提供する。

 「困窮する家庭の親は心を閉ざしがちだ」。40代の女性スタッフは語る。子ども食堂の開設は各地に広がっているが、大々的な宣伝はしていないという。目立つと、親に足を運んでもらいにくくなるからだ。中学生は食事後、宿題を始めた。スタッフが「頑張ってるね」と声を掛けると、照れた様子で笑みを見せた。

 ここではスタッフが勉強を見たり、一緒に料理したりする時間もある。子どもが落ち着いて過ごせる場があれば、親にも余裕が生まれる。弁護士の無料相談もあり、孤立しがちな親から家計や就職などの悩みを聞き、一緒に解決策を探る独自の取り組みもしている。

    ◇   ◇

 各党が競う幼児教育・保育などの「無償化」について、長崎大の小西祐馬准教授(児童福祉)は「基本的には良い」とするが、貧困の根本的解決にはならないとみる。

 日本では7人に1人の子どもが相対的な貧困にあるとされる。2014年施行の子どもの貧困対策法は、学校を「貧困対策の基盤」と位置付け、地域とともにさまざまな支援に取り組む方向性が示されている。

 ただ、臨床心理や福祉の視点から、現場で生徒児童や保護者に寄り添うスクールソーシャルワーカー(SSW)は不足している現実がある。県内の小中学校で就学援助を受ける子どもは約1万7千人いるが、小中のSSWは23人にとどまる。

 小西准教授は「多忙な教師とともに活動するSSWを増やすことが、悩む親の『声』を少しでも多く把握するために不可欠だ」と提言する。

=2017/10/21付 西日本新聞朝刊=

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