町民手づくり舞台熱く きやま創作劇「八ツ並の姫」10日上演 総勢100人地元の伝説描く [佐賀県]

稽古に熱が入る「八ツ並の姫」の舞台。道具や衣装も本格的だ
稽古に熱が入る「八ツ並の姫」の舞台。道具や衣装も本格的だ
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演技指導する福永真理子さん
演技指導する福永真理子さん
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踊りの振り付けを練習する出演者
踊りの振り付けを練習する出演者
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きやま創作劇「八ツ並の姫」のポスター
きやま創作劇「八ツ並の姫」のポスター
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 基山町で10日、町民手づくりの第2回きやま創作劇「八ツ並の姫~観音様になったお姫様」が上演される。出演者はもとより、脚本、衣装、大道具まで町民約100人が関わり、昨年は2回の公演が満席だった。稽古に熱が入る劇の魅力を探った。

 「はーい、ここで踊ってもらいます」

 本番の会場になる町民会館大ホールのステージ。脚本・演出を担当する福永真理子さん(44)の突然の演技指導にシニア男性たちは戸惑いながらもステップを踏んだ。別の場面に出演する子どもたちからは笑いが起こり、舞台は和やかな雰囲気に包まれた。

 きやま創作劇は2010年に「基山の歴史と文化を語り継ぐ会」が地元の歴史的な宝を知ってもらおうと提案し、町内の保育園が演じた劇が始まり。

 その後は、15年の第5回古代山城サミット基山大会に向け、12年から町の基肄城(きいじょう)築造1350年事業として、町立小中学校合同創作劇「こころつないで~基肄城に秘められたおもい」が4年にわたり上演された。

 サミットとともに合同創作劇は幕を下ろしたが、地域にほとんど演劇文化がなかった。「創作劇を続けてほしい」。町民の声を受け、大人も参加する形で昨年、第1回きやま創作劇「ホタル列車」が上演された。

 今年の「八ツ並の姫」は地元に伝わる八ツ並長者伝説を題材にした。柳川長者に嫁入りした八ツ並長者の娘が両家の争いに巻き込まれ、生後間もない子と井戸に身を投げる悲劇を描く。

   ◇    ◇

 福永さんは神奈川県横須賀市出身。東京で俳優養成所の講師を務めるなどしていたが、6年前に俳優の夫の故郷、同町に夫婦で移り住んだ。直後に合同創作劇が始まり、指導役にと白羽の矢がたった。

 「基山の歴史はよく知らなかったが、語り継ぐ会が資料を集めてくれる。衣装やメーク、大道具などの裏方ではボランティアの協力がうれしい」。出演は子ども中心で大人はサポート役だ。「素人なりに心を込めた演技が客の心に響いている。年々、力をつけ、舞台に立つことで人間力や生きる力を身につけてほしい」と期待を込める。

 語り継ぐ会の園木春義会長(69)も出演者の一人。「以前は基山の歴史を知らない子が多く、ほとんどは基肄城の読み方も知らなかった。町民ぐるみで歴史を次世代に語り継いでいけたら」と願う。

   ◇    ◇

 「子どもだからと妥協しない」という福永さんの下で、出演する子どもたちは真剣に取り組んでいる。

 香楠中3年の江島千智(ちさと)さん(15)は「せりふも多く、ゆっくり丁寧にしゃべれるように練習しています」。基山中3年の内山拓勇(たくと)さん(15)は「昨年の劇を見てかっこいいと思って参加した。怒ったり叫んだりするのが難しい」と話す。

 基山小4年の重松華保さん(10)は劇への出演は3回目。「お客さんが悲しんだり、楽しんでくれたりする反応が楽しい」と手応えを感じている。同じクラスの稲毛舞さん(10)も「みんなと仲良くなれるところがいい」と笑顔で話す。

 昨年に続いて今年も出演する松田一也町長は「子どもと大人が知り合う世代交流の場になっている。子どもたちが基山の歴史を学んで地元にいい思い出を持ち、文化振興にもつながれば効果は大きい」と力を込める。

 「八ツ並の姫」は基山町宮浦の町民会館大ホールで、10日午前11時半と午後3時半の2回公演。入場無料。

=2017/12/07付 西日本新聞朝刊=

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