ポニー乗馬教室に幕 子どもたちへ命の教育24年 先生役の吉田さん高齢で引退 唐津市の大良小でお別れ会 [佐賀県]

大良小学校で開かれたお別れ会。中央が吉田孚さんとチャロ
大良小学校で開かれたお別れ会。中央が吉田孚さんとチャロ
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チャロとの別れを惜しみ、鼻筋をなでる児童たち
チャロとの別れを惜しみ、鼻筋をなでる児童たち
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お別れ会であいさつする吉田孚さん
お別れ会であいさつする吉田孚さん
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 子どもたちの情操教育に役立てようと、唐津市の大良小学校(34人)で24年間開かれてきたポニーの乗馬スクールが閉校した。同市唐房の吉田孚(まこと)さん(75)が同小教諭時代から続け、延べ3万人以上の子どもを乗せてきたが、高齢のため先生役を引退。吉田さんは6日、同小で開かれたお別れ会に愛馬のチャロ(15歳、オス)とともに出席し、「命を大切にする気持ちを持ち続けてほしい」と最後の願いを伝えた。

 スクールは1994年、吉田さんが学校の飼育動物として東京の社会教育団体からポニーを譲り受けたのが始まり。吉田さんはモルモットやウサギ、ニワトリなど10種類以上の動物を学校で飼ってきたが、子どもたちが世話をするだけでなく、乗れることで「喜びを感じられる動物」としてポニーに着目した。住民も馬小屋を建てるなど協力。ポニーは数年で6頭に増え、学校の敷地が手狭となったため、吉田さんは近くに自費で牧場を開いた。

 児童がえさやりなどし、希望者は課外のクラブ活動で乗馬を学んだ。チャロが産まれたときは登校途中の児童が最初に気づいた。定年退職後も地元の公民館活動としてスクールは続き、1~3年生が週2回、放課後にエサの草刈りをした後、チャロにまたがって吉田さんに引いてもらったり、自らが手綱を握って走らせたりした。

 2004年、長崎県佐世保市で小6女児の同級生殺害事件が起きたとき、吉田さんはあらためてスクールを続ける意義をかみしめた。「人の気持ちを敏感に感じ取る馬と心を通わせることで、子どもたちに思いやりの大切さを教えていかないといけない」

 お別れ会には全校児童が参加。児童たちが吉田さんとチャロに感謝を伝え、手のひらに載せたニンジンを食べさせた。新たな飼育先の同市佐志のウエスタン牧場に向かうため、チャロがトラックの荷台に乗せられると、子どもたちは鼻筋を代わる代わるなで、チャロもさびしげな目で見つめ返した。6年生の橋本陸君(11)は「チャロに乗ってダッシュしているときは最高の気分。在校生が新入生にチャロの優しさを教え続けていくと思います」と話した。

 同小は山あいにあり、積雪の日は5キロ離れた自宅から歩いてきてチャロの世話をしたという吉田さん。「使命感のような思いがあったが年齢的に限界。チャロとの思い出を通し、子どもたちには相手の気持ちを大事にしながら生活していってほしい」と話していた。

=2018/03/09付 西日本新聞朝刊=

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