子育ての悩み解決グッズ ママ起業家が開発 口コミで評判 ベッドに変わるトートバッグ [佐賀県]

赤ちゃんの視点でベビー用品を開発する「オヤモコモ」代表の山下千春さん
赤ちゃんの視点でベビー用品を開発する「オヤモコモ」代表の山下千春さん
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トートバッグからベッドに早変わりする「ネドコBAG」
トートバッグからベッドに早変わりする「ネドコBAG」
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「ネドコBAG」と専用のおくるみ「RACCO」を組み合わせると、赤ちゃんの姿勢に配慮したベッドになる
「ネドコBAG」と専用のおくるみ「RACCO」を組み合わせると、赤ちゃんの姿勢に配慮したベッドになる
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飲み物を飲む練習用に開発したマグカップ「SUSURU」。カップが鼻に当たらないようにくぼみ(奥)がある
飲み物を飲む練習用に開発したマグカップ「SUSURU」。カップが鼻に当たらないようにくぼみ(奥)がある
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 ベビー用品の企画販売を手掛ける「オヤモコモ」(佐賀市高木瀬西4丁目)が、赤ちゃん視点で開発した商品が注目を集めている。代表の山下千春さん(41)が子ども3人を育てた経験から赤ちゃんにとっての使い勝手を追求し、ビジネス企画発表会でも高い評価を受けた。生後11カ月の一人娘がいる新米パパが、育児の手本にしようと足を運んだ。

バッグがベッドに早変わり「ネドコBAG」

 「お出かけ先で赤ちゃんと食事をするのは大変でしょ」。一戸建てを改修した事務所を訪ねると、絵本やおもちゃが並び、赤ちゃん連れの母親がくつろぐスペースがあった。山下さんは初めて企画した商品を手に笑顔で迎えてくれた。

 オヤモコモは主に二つの商品を販売する。第1弾の「ネドコBAG」(3万2400円)はバッグとベッドの機能を備える。トートバッグとして使えるのはもちろん、専用のおくるみ「RACCO」(1万8900円)を内側にセットするとベッドに早変わりする。

 娘を連れて飲食店に入ると、片手で抱っこしてあやしながら、もう一方の手で慌ただしく食事をすることがしばしばある。商品はそんな悩みに応える発想で開発したという。

 ただ、ネドコBAGの本領は赤ちゃんにとっての使いやすさにある。山下さんによると、乳幼児は胎内にいた影響で首が据わるまでは背骨が曲がっており、丸まった姿勢の方が心地よく眠れるという。「平らな場所に寝かせたら目が覚める“背中スイッチ”は背中が伸びて不慣れな姿勢になることで入る」と説明する。

 ベッドになるおくるみの両端にタオルを敷くことで姿勢が自然と丸くなるように工夫した。口コミで評判となり、2015年2月の発売から約千セットを売り上げている。

飲む練習用マグカップ「SUSURU」

 オヤモコモは12年2月、子育ての悩み相談などに応じる母親グループとしてスタート。山下さんは事務所の家賃に自身が経営する英語教室の収入を充て、寄付も集めていた。だが、資金調達に行き詰まる。

 ビジネスを通じて支援ができないかと思い立ち、14年にベビー用品の企画販売に着手。佐賀商工会議所からの補助金を活用し、看護師らのアドバイスも受け、ネドコBAGを開発した。

 もう一つの商品は、赤ちゃんが飲み物を飲む練習に使うマグカップ「SUSURU(ススル)」(離乳食用スプーン付きで8640円)。口触りが優しい有田焼を採用し、側面の両側に持ち手がある。カップを傾けても鼻が当たらないようにふちにはくぼみを作った。少し傾けるだけで飲むことができるように、底には飲み口に向けて傾斜を設けた。3月中旬から予約を受け付け、2日間で100セットが完売した。

こだわりは「赤ちゃんにとっての使いやすさ」

 二つの商品に共通するのは、親にとっての利便性よりも、赤ちゃんにとっての使いやすさにこだわっていることだ。

 山下さんは子育て経験や商品開発で得た知識を広めるために全国で交流会や講座も開いている。2月には九州・沖縄・山口のベンチャー企業が競うビジネス計画発表会「九州・山口ベンチャーアワーズ」に佐賀代表として出場し、2位の優秀賞に輝いた。

 山下さんは今、育児の環境変化について懸念している。若い夫婦は核家族化で相談できる祖父母が近くにいなくて孤立しがちだ。「インターネット情報に頼り、何が正しいのか分からず自信を失っている」と感じている。「赤ちゃんの立場に立った子育てが一番大切なこと。商品が親子の役に立てればうれしい」

 取材の最後に聞いた山下さんの言葉が身に染みた。娘が体調を崩すとスマートフォンで似たような病状を検索し、育児用品はついつい安価で便利なものを選んでいた。振り返ると思い当たる節が数多くあり、自身の子育てを見つめ直すきっかけになった。オヤモコモ=0952(30)4960。

=2018/06/07付 西日本新聞朝刊=

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