「お坊さんスナック」人気の秘密は… “一晩限り”の悩み相談を記者が体験 [佐賀県]

経本の持ち方を教える主催者の高岸宗範さん(右端)
経本の持ち方を教える主催者の高岸宗範さん(右端)
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スナック「赤いさそり」が「お坊さんスナック さとり」に。手作りなのと駄洒落も良い
スナック「赤いさそり」が「お坊さんスナック さとり」に。手作りなのと駄洒落も良い
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 お坊さんが飲食店で客の悩み相談に応じる「お坊さんバー」「寺カフェ」と呼ばれるイベントが、全国的ににぎわっている。普段、仏教と関わりのない生活を送っている記者。なぜ、そんなに盛況なのか。武雄市でも一晩限りの「お坊さんスナック」が開催されると聞き、その魅力を探ろうと現地に向かった。

■カウンターには仏像や木魚も

 20日午後8時すぎ、武雄市の中心地。居酒屋やスナックが並ぶ一角に変わった張り紙があった。

「お坊さんスナック さとり」「全館禁煙 お焼香のみ可」

 ドアを開くと、スナックによくあるたばこ臭ではなく、香のにおいが漂っていた。「いらっしゃいませー」。出迎えたのは法衣に身を包んだ丸刈りの男性。店内を見渡すと女性客を中心に20人ほど。女性客の間に僧侶が座り、談笑している。女性スタッフが男性客をもてなすスナックとは逆だ。カウンターには小さな仏像や木魚もある。

 主催者は曹洞宗陽興寺住職の高岸宗範さん(38)=白石町。多くの人に仏教に親しんでもらおうと県内の若手の僧侶仲間5人と企画した。高岸さんによると、県内では初めてという。

 ドリンクメニューを見ると、「極楽浄土(カシスオレンジ)」「悪魔(コーラ)」など仏教用語が並ぶ。経本を全員で読経する「般若心経ライブ」のほか、店を出る際に「ご出かんです。かんはひつぎではなく、館です」との掛け声が上がるなど、仏教を身近に感じられるような仕掛けがちりばめられていた。

■「生きる知恵」の教えに心軽く

 記者も席に座り、ささいなことから妻と口論になった悩みを打ち明けた。広雲寺住職の菅原宗玄さん(40)=同町=は「私もよくケンカしますよ」とほほ笑んだ。

 菅原さんが穏やかに言葉をつなぐ。「夫婦といっても他人。他人である以上、お互いが我慢をしないといけない。我慢することが愛情です」。言葉が胸に刺さる。「あなたが悪くなくても奥様に謝りましょう。私は必ず自分から謝りますよ」。心の狭いわが身を恥じる。「我慢した分はため込まず、発散することを見つけて和やかに過ごしてください」。最後は心が軽くなった。

 「今は生き方が問われる時代。だからこそ生きる知恵が詰まった仏教に関心が高まっているのかも」と高岸さん。人気の秘密が分かった気がした。次回は未定だが、高岸さんはまた開きたいと話している。

=2018/06/24付 西日本新聞朝刊=

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