筑肥線、復旧へ突貫工事 大雨、交通や農業に爪痕 [佐賀県]

電車が脱線したJR筑肥線の現場。早期の運転再開を目標に復旧工事が進められている
電車が脱線したJR筑肥線の現場。早期の運転再開を目標に復旧工事が進められている
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電車運転見合わせのため、始まったバスの代行輸送。唐津駅でも筑前前原駅へと向かう通勤、通学の人たちが乗り込んだ
電車運転見合わせのため、始まったバスの代行輸送。唐津駅でも筑前前原駅へと向かう通勤、通学の人たちが乗り込んだ
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山肌の土砂が流入し、一部が損壊したホウレンソウのハウス(右奥)を視察した山口祥義知事(左)
山肌の土砂が流入し、一部が損壊したホウレンソウのハウス(右奥)を視察した山口祥義知事(左)
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 記録的な大雨から一転、梅雨明けし青空が広がった9日、県内各地では関係者や住民ボランティアらが土砂崩れの被害に遭った道路や鉄道、農地などの復旧作業に追われた。山口祥義知事も同日、各現場を視察。被害の把握や対応に全力を挙げる姿勢を示した。

 山口知事は午前10時半、唐津市浜玉町でJR筑肥線に土砂が流入し電車が脱線した現場を視察した。JR九州の担当者は脱線発生時の状況を説明した上で、運転再開に向け、急ピッチで復旧作業を進めていると強調した。

 同社によると、線路そばの斜面の沢が崩れ、高さ3メートル、長さ40メートルにわたって土砂が線路を埋めた。流入量は10トンダンプカー約300台分の約1600立方メートルで、並行する国道202号とともに土砂を取り除く突貫工事を続けてきた。

 今回の事故で県災害警戒本部が発生を知ったのは県警の情報を受けてからで、同社側から県への通報はなく、情報共有面での課題が浮上した。知事は現場でJR社員に対し今回の事態について「お互いに検証したほうがいい」との考えを示した上で、記者団に「ためらわず、すぐに連絡していただき、県と一緒に対応する形にしていきたい」と述べた。

    ◇      ◇

■西唐津‐筑前前原で代行バス運行開始

 運転を見合わせているJR筑肥線・西唐津-筑前前原間で9日からバスの代行輸送が始まった。

 バスは通行規制などがある鹿家駅を除く各駅に停車。利用者の多い唐津-筑前前原間は電車では所要時間が40分程度だが、代行バスはルートが複雑で倍の1時間半かかる。

 西唐津駅から福岡市中央区に通学する専門学校生の宮崎知貴さん(22)は唐津線の列車で唐津駅まで来た後、午前8時出発の代行バスに乗り換えた。「普段は1時間10分ほどで、天神まで行ける。代行バスだと時間がかかって大変なので早く復旧してほしい」と語った。約200人の生徒が同線で通学する早稲田佐賀中学・高校は、授業開始時間を15分遅らせた。ただ、それでも間に合わない生徒がいたため、10日は30分遅らせる予定という。

    ◇      ◇

■水田、ハウスに土砂流入 佐賀市富士町

 佐賀市富士町杉山では大雨で山肌が崩壊し、田植えを終えた水田やホウレンソウのハウスに土砂や倒木が流入した。

 水田は約60アール。耕作している鳥谷良太郎さん(39)によると、一帯は5月の大型連休明けに田植えを終え、幼い穂が形成される時期だった。6日午後3時ごろ、被害に気付いたという。鳥谷さんは「残念だ。復旧費を含む被害総額は数千万円。再生には数年かかる」と肩を落とした。

 ホウレンソウのハウスは杉山利則さん(62)の4棟(計約16アール)の一部が損壊し、約3アールに土砂が入り込んだ。杉山さんは「約35年間の営農で土砂崩れは初めて。自然相手なので仕方ない」と話した。被害総額は数百万円を見込む。

 視察した山口知事は「まずは全県的な被害状況を把握する。国や市、町と連携して難局を乗り越え、しっかり対策を取らないといけない」と話した。

=2018/07/10付 西日本新聞朝刊=

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