十四代今泉今右衛門さん「時代に挑む」 12日から佐賀で個展 [佐賀県]

新作「色絵雪花薄墨墨はじき四季花文花瓶」を手にする今右衛門さん
新作「色絵雪花薄墨墨はじき四季花文花瓶」を手にする今右衛門さん
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色絵薄墨墨はじき水流文鉢
色絵薄墨墨はじき水流文鉢
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 色絵磁器の人間国宝、十四代今泉今右衛門さん(55)=有田町赤絵町=が12日から、佐賀市中の小路の佐賀玉屋で個展を開く。地元開催は6年ぶりで、新作55点と歴代の作品約40点を出品予定。「時代に挑む姿勢」で臨むという。17日まで。

 今右衛門さんは武蔵野美大で金工を学び、陶芸家鈴木治氏に師事。2002年に十四代今泉今右衛門を襲名し、14年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。

 江戸時代から続く白抜きの技法「墨はじき」を昇華させた深遠な世界観は、今回さらに新しい発展を遂げている。注目の大作「色絵雪花薄墨墨はじき四季花文花瓶」は今年1月の初窯で本焼成し、6月に上絵まで仕上げた。赤の線描きとプラチナ彩が反射し合い、渋みの中にも絢爛(けんらん)たる輝きを放つ。白地には「雪花墨はじき」技法で陰影をつけ、構図も考え抜いた。「鍋島の白は『余白』という柔らかな白ではなく、文様との緊張感に生まれる空間だと思います」

 緊張感は今右衛門さんの仕事と作品の核になっている。「常に自分の中の不安に挑み、これでどうだろうとの思いで生まれた新作を見てもらいたい」と言う。

 人との対話で生まれる作品も多い。「色絵薄墨墨はじき水流文鉢」は、「ガラス作家ラリックの人魚を磁器に描いてほしい」との依頼で制作した。意外なお題に戸惑ったが、髪や顔をデフォルメすると音楽的なリズムを持った線が現れた。

 今右衛門さんは有田陶芸協会長に加え、6月に県陶芸協会長に就任した。「工芸とは何か」と自らに問い続け、「自分の気持ちの発露ではなく、素材や使い手との関わりから作り出すもの」との思いを新たにしているという。会期中は12、14、15、16日に在廊する。佐賀玉屋=0952(24)1151。

=2018/09/11付 西日本新聞朝刊=

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