唐津、クルーズ船の寄港堅調 欧米小型客船に照準 来年は倍増 課題はガイド確保 [佐賀県]

唐津港を出港するスター・レジェンドに手を振って見送る市民たち=4月3日
唐津港を出港するスター・レジェンドに手を振って見送る市民たち=4月3日
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スター・レジェンドの寄港に合わせ、唐津市中心街では、ほうじ茶や抹茶ジュースの振る舞いもあった=4月3日
スター・レジェンドの寄港に合わせ、唐津市中心街では、ほうじ茶や抹茶ジュースの振る舞いもあった=4月3日
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 唐津市でクルーズ船の誘致が順調に進んでいる。今年は4月に県内で初めて外国クルーズ船が唐津港に寄港したのを皮切りに計6隻が入る予定。来年は少なくとも倍以上の13隻が寄港する見通しだ。博多港などに接岸する大型船でなく、欧米の富裕層が顧客となる5万トン級以下の小型客船に照準を合わせたのが奏功。市は市民のおもてなしの機運盛り上げや観光施設の多言語化に力を入れる。

 「美しい景観やアジアに近い立地、歴史や文化にあふれた観光資源を国内外にPRし、クルーズ船の誘致を進めている」。8月中旬、同市内であった市民向けのクルーズセミナーで、峰達郎市長は力を込めた。

 市や県がクルーズ船誘致を本格化させたのは、九州への寄港が大きく増えた2015年ごろから。市内には5万トン級の客船が接岸可能な唐津港妙見ふ頭があり、2・6万トン級が接岸できる同港東港の耐震岸壁の供用開始も16年4月に迫っていた。唐津港に寄港するクルーズ船はそれまで年間1~3隻にとどまっており、「チャンスを逃すわけにはいかない」(市)と考えたからだ。

 市と県は16年3月、寄港先の決定に影響力がある日本人の通訳案内士を県内に招致。唐津城や唐津焼の工房などを案内して唐津ファンになってもらい、今年5月のフランスのクルーズ船「ロストラル」(1万944トン、乗客定員264人)誘致につなげた。その後、4月と10月に米国の「スター・レジェンド」(9961トン、同224人)の寄港も決定。外国船は実績を重視して寄港地を決める傾向があり、19年は寄港が決まっている13隻のうち11隻を外国船が占めるという。

■制約を逆手に

 2017年にクルーズ船が九州に寄港した回数は、全国の4割を占める1070回。同年の唐津港は3回で、全国トップの博多港(326回)、2位の長崎港(267回)などに遠く及ばない。

 中国発着のクルーズ船は大型化が進み、博多港には16万トン級の船も多く寄港しているが、唐津港は5万トン級までという制約がある。数千人が乗船する大型船が寄港すれば、移動のバスだけでも数十台が必要になり、準備は簡単ではない。

 そこで市と県は、欧米の富裕層が利用する小型高級客船に照準を合わせた。市によると、ショッピングが主体の大型客船の乗客と異なり、日本文化の体験に主眼を置く人が多い。クルーズセミナーで講演したロストラルの国内代理店「マーキュリートラベル」の東山真明代表も「歴史文化志向の唐津は、小型船の客層に合う。小型船を誘致する戦略を突き詰めたほうがいい」と指摘した。

■多言語化遅れ

 クルーズ船の誘致を担当する市みなと振興課の石盛英樹さんは、4月に初入港したスター・レジェンドの乗客の行動で意外だったことがある。米国人中心の乗客198人のうち約130人が用意していたオプショナルツアーに参加せず、自由に街歩きを楽しんだことだ。

 街では、商店街の店主や住民有志が日本酒や茶を振る舞ったり、折り紙の体験コーナーを設けたりするおもてなし活動を展開。出港時は300人の市民が東港の岸壁から見送った。5月のロストラルの寄港時には、唐津東高の生徒もボランティアで出迎えた。石盛さんは「最初は不安があったが、思った以上の対応ができた」と話す。

 課題もある。ボランティアの通訳ガイドは毎回15人に協力してもらったが、来年のように寄港が続けば確保が難しくなる。唐津城など展示説明の多言語化が遅れている施設もある。客船が入る日時を市内の飲食店に提供する方法もまだ決まっていないという。

 石盛さんは「唐津市にはホスピタリティーは間違いなくある。市民の力を発揮できるよう、情報提供のあり方などを検討していきたい」と強調した。

=2018/09/13付 西日本新聞朝刊=

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