断酒「向き合える仲間を」 傷害、飲酒運転の依存症男性ら 12日、佐賀市で体験語る [佐賀県]

「飲酒運転による人身事故のニュースを見るたびに、自分も加害者になっていたかもしれない」と話す男性
「飲酒運転による人身事故のニュースを見るたびに、自分も加害者になっていたかもしれない」と話す男性
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 酒を飲んで事件を起こし、刑務所に服役した男性(47)=福岡県在住=らアルコール依存症患者3人が12日、佐賀市で体験を語る。嗜好(しこう)品だからこそ気付かないうちに依存が進むお酒。自助グループに参加して以来、8年間断酒しているこの男性は「一人では回復できない。一緒に向き合える仲間や居場所を見つけてほしい」と訴える。

 男性はもともと酒が飲めない体質だった。「飲めるようになれば人付き合いがうまくなる」と考え、飲む練習を始めたという。少しずつ飲める量が増えたが、酔えば暴行、傷害事件を繰り返した。周りから人が離れ、歓待してくれる飲食店にさらにのめり込んだ。

 アルコール依存症は「否認の病」と言われる。飲酒の問題を認めず、飲むことを正当化する。男性も27歳のときに精神科病院で依存症と診断されたが、入院中も病棟を抜け出してビール…。退院後も「勧められたから仕方ない」と理由をつけて毎晩1升近く飲んだ。酒が残ったまま出勤し、注意されれば仕事を辞めた。飲酒運転で事故を起こしたこともある。

 考えが変わったのは傷害罪で服役してから。刑務所の面会室で「育て方が悪かった。すまん」と謝る両親に、「何不自由なく育ててくれたのに申し訳ないと思った」。39歳で出所し、自らの意志で入院。国内外で活動する自助グループ「AA(アルコホーリクス・アノニマス)」と出会った。

 最初は家族から監視されているような居心地の悪さや、職場の同僚への不満からいらいらしていたが、AAのミーティングで毎週吐き出すうちに楽になった。同じ境遇の仲間とつながることで断酒の意志を継続できていると感じる。男性は「楽しそうに飲んでいる人がうらやましかったんだと思う。うまくいかない怒りを酒で解決しようとしたのが間違いだった」と話す。

 AA九州・沖縄地域委員会によるアルコール依存症についてのフォーラムは12日午後1時から佐賀市天神3丁目のアバンセで。肥前精神医療センターの医師が基調講演する。参加無料、申し込み不要。問い合わせは同委員会=099(248)0057。

=2018/10/10付 西日本新聞朝刊=

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