アニメとコラボし佐賀PR 流行に乗ってファン獲得 全国から“聖地巡礼”に 県の手法が注目集める [佐賀県]

JR佐賀駅前で8月に行われた「佐賀春」像の除幕式に集まったファンたち。現在、像は県庁新館に移設されている(県提供)
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佐賀市歴史民俗館旧牛島家で販売された「銀魂」とのコラボ商品(県提供)
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「さが維新まつり」と「ゾンビランドサガ」のコラボのイメージ図(c)ゾンビランドサガ製作委員会
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「ゾンビランドサガ」のトークショーで県内の特産品や観光地をファンにPRした声優
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 話題のアニメやゲームとコラボレーションして特産品や観光地をアピールする佐賀の手法が注目を集めている。コラボ商品でファンの心をつかみ、インターネットで情報を拡散させ、ゆかりの場所を巡る「聖地巡礼」につなげている。県は東京にアンテナショップを置かず、オフィスを構え、流行に乗っかる「マーケットイン」に取り組む。

 県庁新館玄関で来庁者を迎えるのは有田焼だけではない。その隣には巨大な犬のような像。人気アニメ「銀魂(ぎんたま)」に登場する「定春(さだはる)」を改名させた「佐賀春(さがはる)」。ムツゴロウの形の帽子をかぶり、有田焼の皿に乗る。

 県庁受付の女性によると、毎日、若者5人ほどが訪れ記念撮影しているという。「どこで関連グッズを売っているのか」と尋ねられることもある。

 県はアニメ制作会社と手を組み、8月にご当地キャラクターに佐賀春を任命。パッケージに佐賀春が描かれた飲食料品など11種類のコラボ商品を佐賀市内限定で売り出すと、その情報がツイッターやインスタグラムなどで広がり、全国からファンが佐賀に集まった。

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 このコラボを仕掛けたのが「サガプライズ!プロデュースオフィス」。県が2013年に東京・青山に事務所を構え、広報広聴課職員4人がアニメやゲーム会社と提携して佐賀を売り出す手法を模索する。

 県は首都圏にアンテナショップを置いていない。全国47都道府県でショップがないのは12府県(1月時点)。九州では福岡と佐賀だけだ。

 「首都圏からすると、佐賀は心理的にも地理的にも遠い」。都内の会社で勤務した経験がある県広報広聴課の金子暖副課長(43)は、こう指摘する。ショップで特産品を売っても県としてブランド力が弱いと顧客が集まらない。そこで情報発信しても観光客誘致につながりにくい。

 そこで着目したのが、地方の発想を首都圏に発信する「プロダクトアウト」でなく、首都圏発の流行に乗っかる「マーケットイン」と呼ばれる手法だ。

 「情報を一方的に押しつけても興味を持ってもらえない。川上より川下から設計する発想が大切だ」と金子さん。はやりのアニメやゲームを入り口にして、若者たちに佐賀の魅力を感じてもらう流れをつくる。

 16年にはアニメ「おそ松さん」と国の特別名勝「虹の松原」の「松」つながりで、唐津市でスタンプラリーを開催。人気格闘ゲーム「ストリートファイター2」のキャラクターをあしらった有田焼の皿も販売した。今年10月に「さが維新まつり」のプレイベントとして、県ゆかりのアニメ「ゾンビランドサガ」の声優のトークショーを佐賀市で開くと、関東や関西などからファン約500人が詰めかけた。

 今では佐賀の手法を学ぼうと、東京のオフィスには自治体の視察が相次いでいるという。

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 コラボの取り組みは広がりつつあるが、集客効果を一過性に終わらせず、安定的な観光客誘致につなげられるかが課題となる。

 フィギュアスケートのテレビアニメ「ユーリ!!! on ICE」の主人公の出身地のモデルとされた唐津市。市は17年、県とともに都内のアイススケート場で関連イベントを開催。市単独でコラボ商品を都内や福岡市で売り、原画の展示会を市内で開いた。

 ファンの「聖地巡礼」で盛り上がり、16年の放送終了から2年間でファン約6万人が市に訪れ、この約4割が市内に宿泊。経済効果は約6億4千万円と試算されたが、一時のブームは落ち着いてきているという。

 市は「唐津を繰り返し訪れてくれているファンたちが離れないように、どうもてなすかが大切だ」と話す。

=2018/11/15付 西日本新聞朝刊=

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