武雄は巨木の宝庫 川古、武雄、塚崎の大楠 「信仰の対象? 住民が大切に」 [佐賀県]

年間約5万人が訪れるという国天然記念物の「川古の大楠」
年間約5万人が訪れるという国天然記念物の「川古の大楠」
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「武雄の大楠」。スマートフォンで撮影する姿が多く見られた
「武雄の大楠」。スマートフォンで撮影する姿が多く見られた
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大きな口を開けているように見える「塚崎の大楠」
大きな口を開けているように見える「塚崎の大楠」
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 千年を超える強い生命力が訪れる人々を圧倒する巨木。縄文杉や蒲生の楠(くす)(いずれも鹿児島県)などが有名だが、実は武雄市も巨木の宝庫なのだ。環境省の調査で全国3位になった「川古の大楠」(同市若木町川古)をはじめ、市内の3本の楠は県内のトップ級を占める。なぜ武雄に集まっているのか。3カ所を見て歩き、考えた。

 まずは全国に誇る国天然記念物の「川古の大楠」。川古は市北部に位置し、お目当ての巨木は伊万里市へと通じる国道498号沿いにあった。駐車場が完備され、「川古の大楠公園」として整備されている。

 古い巨木というと深い森林の中というイメージがあるが、ここは民家が並ぶ平地で、大楠が1本そびえ立っている。市文化課によると、幹回り21メートル、樹高25メートル。樹齢は何と3千年。幹回りの長さでランキング付けをした環境省の1989年巨樹・巨木林調査では全国3位になった。

 枝が東西南北に広がり、緑の葉が生命力の強さを感じさせる。公園の管理責任者は「年間約5万人が訪れる。3千年という歴史の重みを感じに来てほしい」と話した。

 この木が誕生した頃は、縄文か弥生かという時代だ。当時、一帯はどんな風景だったのか。その後の人々の暮らしを見守ってきた巨木は静かに立ち続けている。

    ◇   ◇

 次に足を運んだのは、市中心部にある武雄神社(同市武雄町武雄)の神木の「武雄の大楠」。神社から100メートルほど離れた所に立っており、市の天然記念物になっている。

 樹齢3千年で、幹回り20メートルは全国7位。樹高は30メートルもあり、迫力満点だ。根元はごつごつとして荒々しさを感じさせるが、幹の中は空洞になっている。樹勢の衰えが指摘され、市が回復作業を施した結果、今では勢いを取り戻したという。

 初詣客が次々と訪れては、スマートフォンなどで熱心に撮影していた。福岡市から来たという24歳と25歳の女性は「スピリチュアルな木があると聞いて来たけど、こんなに大きいとはびっくり。神秘的というか。木からエネルギーをいっぱいもらった」と興奮気味だった。

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 「武雄の大楠」から北に約500メートル。武雄市文化会館横の小山に市天然記念物の「塚崎の大楠」がある。「川古」「武雄」には木の周囲に柵が設置されて近寄れないのに対し、「塚崎」には柵がなく、巨木を間近に感じられるのが特徴だ。

 幹回り13・6メートルで樹齢は2千年といわれる。ただ、1963年の落雷で幹の上部9メートルほどが失われ、樹高は18メートル。根元にはぱっくりと口を開けた空洞があり、木の内部をのぞくことができる。樹勢に心配はないが、市文化課は「保護のため触れたり、空洞の中に入ったりしないでほしい」と呼び掛けている。

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 「パワースポット」と言われて訪れる人が絶えない巨木。武雄に3本も残ったのはなぜ。「武雄」は神木で、「塚崎」は武雄神社の三宮があった場所。「川古」には観音像が据えられていたという。市文化課は「いずれも信仰の対象となり、地域の住民が大切にしてきたためでは」と推測する。

 3千年にわたり先人が守ってきた大切な遺産だ。「まずは保護することが必要だが、多くの人に巨木の魅力を知ってもらうことも大事。観光課などと連携して対策を考えたい」と市文化課。2022年度に部分開業する九州新幹線西九州(長崎)ルートの客を呼び込む観光資源にならないだろうか。

=2019/01/10付 西日本新聞朝刊=

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