陶器から磁器、過渡期の窯 伊万里・栗木谷窯跡 9日に現地説明会 [佐賀県]

栗木谷窯跡の発掘現場。北風をさえぎるように谷間に築かれている
栗木谷窯跡の発掘現場。北風をさえぎるように谷間に築かれている
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碗や皿、さや鉢などの出土遺物。一部が磁器質化した陶片も見つかった
碗や皿、さや鉢などの出土遺物。一部が磁器質化した陶片も見つかった
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 伊万里市教育委員会が、17世紀初頭に稼働した同市松浦町の「栗木谷(くりきだに)窯跡」の発掘調査を進めている。陶器とともに磁器質化した陶片も出土し、市教委は「陶器から磁器焼成に移行した肥前窯業の黎明(れいめい)期を知る手がかりとなる」としている。9日に一般向け現地説明会がある。

 市教委による大規模な古窯発掘は8年ぶり。市の工業団地整備に伴い、昨年10月から発掘に着手した。文化財調査業者「プロレリック」(長崎県佐世保市)と共同で、3月中旬まで調査する。

 確認された登り窯は1基で、尾根の谷間の湿地帯に築かれ、排水溝跡も見つかった。窯の残存部分は全長約25メートル、全11室で、一部はこれまでの土地造成で損なわれている。奥壁の残り具合から上部の部屋が高温、下部は低温で焼成されたと考えられ、窯道具のトチンなどを芯材に窯壁を補修した跡も確認された。失敗作を捨てる物原(ものはら)は見つかっていない。

 出土品は生活雑器の碗(わん)や皿、かめ、すり鉢などが中心。天目型など丁寧な作りの物もあり、さや鉢(高級品を焼くための窯道具)も出土した。陶片の一部は高温で焼成したため磁器質化しており、伊万里市教委の一本尚之さんは「陶器を焼きつつ磁器焼成を試みる過渡期の窯だったことが分かる」と話す。窯は佐賀藩による窯場の統合で廃窯になった。周辺の土壌は陶磁器の胎土にも使える黄白色の砂岩質。

 現地説明会は9日午前10時半から。同市松浦町のさが西部クリーンセンター前にある発掘調査現場事務所に集合する。

=2019/02/09付 西日本新聞朝刊=

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