学生 実家で投票できる? 住民票移さず転居 九州自治体判断割れる

 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた参院選で、進学などに伴い住民票を移さずに引っ越した学生の投票を旧住所地の自治体が認めるか否か、対応が割れている。九州7県の県庁所在市・政令市では、旧住所地に実際は住んでいないと把握した場合、宮崎など4市はルール通り投票を認めない一方、福岡など4市は「投票の意志を優先する」などとして容認している。憲法で保障された選挙権が市町村の判断に左右される現状に、関係者の間にはとまどいも残る。

 「投票はできません」。6月、東京に住む新有権者の男子学生から電話で問い合わせがあり、宮崎市選挙管理員会の担当者はこう告げた。学生は不在者投票を望み、住民票を市に残して1年以上東京に住んでいると申告したという。「住んでいないと分かった以上、選管の判断で良いとは言えないので…」。担当者は心苦しそうに語った。

 総務省によると、投票するには市区町村の選管が管理する「選挙人名簿」への登録が必要。住民票を置いて3カ月以上がたち、実際に住んでいる(居住実態がある)ことが条件となる。

 宮崎市が投票を断ったのは1954年の最高裁判例を根拠とする。学生寮が住所となるかが争われ、住民票を実家に残していても、就学に伴う引っ越し先を住所と認定。居住実態がある場所を住所とみなすべきだという考えにのっとり、本来なら選挙人名簿への登録資格がないと判断した。

 宮崎市と同様、長崎、大分、鹿児島3市も投票を認めていない。ただ全有権者の居住実態の把握が事実上、不可能なため「積極的に聞き出すことはない」としており、本人が申告しなければ、投票できるケースもあるとみられる。

 一方、福岡、北九州、佐賀、熊本-の4市は投票を認める。「個別に申告があった人だけを断るのは公平性に欠ける」(福岡市)、「投票意欲がある人を一律に断れない」(北九州市)、「全学生に居住実態を聞くことはできない」(佐賀市)など、居住実態が把握できない以上、扱いに差をつけられない、というのが理由だ。

 公益財団法人・明るい選挙推進協会の昨年の調査では、住民票を移していない大学、大学院生は6割以上。総務省は「どちらも間違いとは言えない。住民票は転居先に移すのが原則と周知するしかない」としている。

=2016/07/05付 西日本新聞朝刊=

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