特定秘密保護法 ずさんな運用に歯止めを

 政府に特定秘密を扱う資格があるのだろうか-。そんな根本的な疑念すら抱かざるを得ない。国民の知る権利を脅かしかねない特定秘密保護法のずさんな運用が衆院の情報監視審査会の年次報告書で明らかになった。

 年次報告書は、特定秘密の指定や解除に問題がないかをチェックするため衆参両院に常設されている情報監視審査会が毎年、それぞれの議長に提出している。2014年末の同法施行以来、2回目の報告となった今回は、まず衆院が大島理森議長に提出した。

 驚かされたのは、15年12月末までに指定された特定秘密443件の37%に当たる166件に具体的な文書がなかったことだ。厳重な金庫は用意したのに納めるお金がなかった-というのだ。いわゆる「空箱指定」である。

 その理由にまた驚く。この中には情報が得られると思って指定したが、結果的に得られなかった「あらかじめ指定」が外務省や防衛省など5機関に15件あった。少なくとも情報が得られなかった時点で速やかに指定を解除すべきだ。

 さらにびっくりするのは「頭の中指定」である。防衛省と公安調査庁は担当者の記憶や知識を計10件も指定していた。これでは、どんな情報なのか分からず、指定が適切かどうかも判断できない。

 政府は今回の指摘を受けて空箱指定を計36件減らしたが、どこまで反省しているのか疑わしい。

 前回報告書は、特定秘密の概要をリスト化した指定管理簿の表記を分かりやすくする▽国家安全保障会議(NSC)の議事録を提示する▽指定期間満了前の文書を廃棄する場合は国会に説明する-よう求めていたが、これらは今回もゼロ回答だった。政府内では特定秘密を記録した文書の廃棄に向けた手続きが進んでいるという。

 国の情報は本来、国民のものなのに、非公開の審査会にすら政府は情報提供に後ろ向きだ。審査会にはより強い勧告権もあるが、強制力はない。国民の知る権利を守るために、国会には監視機能の強化を改めて強く求めたい。


=2017/04/22付 西日本新聞朝刊=

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