加計学園問題 うやむやでは許されない

 安倍晋三首相をはじめ、政府も与党も真相を解明する気はないのだろうか。それとも、明るみに出したくない何かがあるのか。

 首相の「腹心の友」が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が国家戦略特区を活用して愛媛県今治市に計画する獣医学部の新設に首相の意向が働いたのではないか-という疑惑だ。

 文部科学省の前川喜平前事務次官の証言が続く。特区担当の内閣府から加計学園の計画は「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」と伝えられたとする文書の存在を記者会見で認めた。共同通信のインタビューなどでは、和泉洋人首相補佐官や、学園理事も務める木曽功内閣官房参与(当時)から「早く進めてほしい」と言われたことを明らかにした。

 文科省が50年以上も認めなかった獣医学部新設が国家戦略特区のメニューに追加▽獣医学部がない「空白地域」に1校容認▽事業主体に加計学園を選定-と昨秋から今年1月にかけて政府の動きは矢継ぎ早だった。当時の事務次官だった前川氏の証言は重い。

 言うまでもなく行政には公正と公平が求められる。仮に獣医学部の新設が時代の要請であったとしても、首相に近いからといって特別扱いがあってはならない。

 今回は別の地域と大学も獣医学部新設を要望したが、結果的に断念に追い込まれた。最初から「加計学園ありき」だった疑念は前川氏の証言で一段と深まっている。

 「行政がゆがめられた」との前川氏の指摘に対し、首相は「友人に便宜を図ったという前提の恣意(しい)的議論」と反発した。菅義偉官房長官は「前川氏が勝手に言っていること」と決めつける一方、出会い系バーへの出入りなどを挙げて前川氏の言動を疑問視している。問題のすり替えではないか。

 野党が証人喚問などで徹底解明を求めるのは当然だ。前川氏も喚問に応じると明言している。なぜ与党は拒むのか。「森友学園」(大阪府)への国有地売却問題とともに、うやむやにして逃げ切ろうとしているなら許されない。


=2017/06/02付 西日本新聞朝刊=

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