作業員被ばく 安全管理がずさんすぎる

 極めて危険な物質を扱っているという自覚に欠け、組織に油断がまん延してはいないか。

 日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県)で、作業員の被ばく事故が起きた。

 作業員5人が放射性物質の貯蔵容器を点検するため、ふたを開けたところ、中に収められていたビニールバッグが破裂し、放射性の粉末が飛び散った。

 事故直後の検査で1人の肺から2万2千ベクレルのプルトニウムが測定されたが、体表に付着した放射性物質が影響した「誤測定」だった可能性が高いという。

 放射線医学総合研究所の再検査では、5人の肺からプルトニウムは検出されなかったが、一部の作業員から他の放射性物質が計測された。長期的に治療を進め、経過をチェックする必要がある。

 「想定外の事故」という機構の釈明は、到底納得できない。

 貯蔵容器は1991年に封印され、以降一度も開封されずに放置されていた。放射線の影響でガスが発生して内圧が高まり、ビニールバッグが破裂したとみられる。専門家なら予見できたはずだ。少なくとも警戒すべきだろう。

 作業員は鼻と口を覆う半面マスクしか装着していなかった。

 放射性物質の漏出対策のため、作業員は3時間以上、汚染された室内で待機させられた。

 人命保護第一の視点に立てば、疑問を抱かざるを得ない措置ばかりだ。放射能のリスクに対する警戒感が鈍ってはいないか。

 機構のお粗末な安全管理は、繰り返し表面化してきた。

 高速増殖原型炉「もんじゅ」では2012年に、約1万点もの機器の点検漏れが発覚した。

 13年は茨城県東海村の実験施設で放射性物質が漏れ、30人以上が内部被ばくした。

 原子力研究を担う資格がない-と批判されても仕方あるまい。

 機構は事故を徹底的に検証するとともに、安全に対する姿勢を根本的に問い直す必要がある。安全管理に対する国民の信頼こそ、原子力研究の土台と心得るべきだ。


=2017/06/18付 西日本新聞朝刊=

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