古民家の活用 観光資源として再生図れ

 古民家とは日本の伝統的な様式で古い時代に建てられた民家のことをいう。いろりの火で長年あぶられて黒光りする太い柱は風格を漂わせ、梁(はり)の下の空間は快い開放感を抱かせる。現在の住宅にはない趣のある建物だ。

 こうした古民家を再生して観光振興に役立てるため、官民挙げて支援する動きが広がっている。

 国土交通省によると、愛知県犬山市では古民家の外観を整備して城下町の町並みを復活させ、国宝の木造天守を持つ犬山城の来場者が、この10年で2倍以上に増えた事例もあるという。

 うまく活用できれば、社会的に問題となっている空き家対策にもつながる。成果に注目したい。

 2020年の訪日外国人客年間4千万人を目標に掲げる政府は、古民家を観光施設に利用して訪日客の地方誘致を図る方策を検討中だ。担当部署を内閣官房内に設け、自治体などからの相談を一元的に受け付けている。

 政府は古民家再生のノウハウを持つ民間有識者と連携して自治体をサポートし、活用の支障になっているとされる建築基準法や消防法の規制見直しも進める方針だ。

 官民出資の株式会社「地域経済活性化支援機構」は、宮崎県日南市飫肥(おび)地区の町並み再生事業として4月に完成した2棟の古民家宿泊施設へ投資した。

 子会社などが運営する「観光活性化マザーファンド」を通じた投資で、城下町として栄えた町並みや古民家の魅力をアピールして国内外から観光客を呼び込む。

 千葉銀行は先月から、古民家を使った事業に特化した融資制度を導入した。担保価値に乏しい家屋でも、同行が歴史資源としての価値を認め事業の成長性も見込めれば貸し付けるという。

 地域に眠る古民家を宿泊施設や飲食店に改修し、観光資源として再生させるのが狙いだ。

 古民家を観光振興などに活用する動きは九州でも以前から盛んに行われてきた。周辺の観光施設との連携など運営にも知恵を絞り、地域づくりに役立てたい。


=2017/06/19付 西日本新聞朝刊=

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