金融出口戦略 説明回避せず道筋議論を

 日本と米国の中央銀行が先週、相次いで金融政策を決める会合を開いた。

 米国の連邦準備制度理事会(FRB)は今年2度目の利上げを決めたほか、2008年のリーマン・ショック後の量的金融緩和で膨らんだ保有資産の縮小に年内に着手すると表明した。

 一方、日銀は、2%の物価目標達成は道半ばとして、現行の大規模な金融緩和の維持を決めた。

 単純には比較できないが、金融危機後にFRBは正常化へ着実に歩みを進め、欧州中央銀行(ECB)も緩和縮小へ布石を打つ中、日銀だけが出口を見通せないまま、資産を増やし続けている。

 日銀は緩和をいつまで続け、どんな手じまいを考えているのか。軟着陸は可能なのか。市場も国民も先行きへ不安を感じている。市場の混乱を避ける手法を工夫しつつ、出口への道筋や処方箋を広く議論し始める潮時ではないか。

 米国の利上げは織り込み済みで、焦点は金融危機後の量的緩和で危機前の約5倍に当たる4兆5千億ドル(約500兆円)規模に膨らんだ資産の圧縮をどう進めるかだった。既に量的緩和は終え、利上げも進めている。次は保有資産のうち、満期を迎えた米国債などへの再投資を減らすことで年内に資産の段階的縮小に着手するという。市場と対話しながら慎重に正常化を進める姿勢は評価したい。

 これに対し日銀は13年4月の異次元緩和開始以来、総資産が国債を中心に500兆円に達し、国内総生産(GDP)に匹敵する規模に膨張している。なのに、一向に見通しが語られないため、「緩和を縮小する出口で国債購入を減額すれば、国債価格が急落し、金利が急上昇して市場が混乱するのでは」「緩和の終了時、日銀は巨額の損失を抱えるのではないか」といった臆測や推測を呼んでいる。

 日銀は出口戦略の早期開示について「かえって市場の混乱を招く」としている。だが適宜適切な情報開示や市場との対話も中央銀行の大事な役割だ。説明を回避せず幅広く議論する姿勢を求めたい。


=2017/06/20付 西日本新聞朝刊=

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