内閣支持率急落 「1強政治」のおごり反映

 安倍晋三内閣の支持率が急落した。18日閉幕の通常国会で、国民の疑問や懸念に正面から向き合おうとしなかった経緯を振り返ると、当然といえるだろう。

 共同通信社の全国電話世論調査によると、内閣支持率は44・9%と前回5月から10・5ポイントも低下した。不支持率は43・1%で8・8ポイント上昇した。各報道機関の調査もほぼ同様の傾向を示している。

 理由は明白である。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法で、与党が参院法務委員会の採決を省略したことについて67・7%が「よくなかった」と批判した。学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡る文書の政府調査で「真相が明らかになったと思わない」は84・9%に達した。

 このほか学校法人「森友学園」への国有地売却問題や国連平和維持活動(PKO)で南スーダンに派遣した陸上自衛隊の日報を巡る問題もある。全てに共通するのは政権が苦言や批判に耳を傾けず、説明責任を果たさないことだ。

 こんな独善がまかり通るのはなぜか。衆参両院で自民党が単独過半数を占め、党内の異論も封じるような「1強政治」の弊害だろう。その危うさを国民が感じ取ったことが、内閣支持率に反映したのではないか。

 首相はきのうの記者会見で「信頼を得られるように一つ一つ丁寧に説明する」と述べた。本当だろうか。政権内部には「10ポイント程度の支持率低落は織り込み済み。今回もすぐに回復する」と楽観的な声があるという。

 安全保障関連法や特定秘密保護法が成立した際もいったん落ち込んだ支持率がV字回復した。それが念頭にあるのだろう。しかし、世論を甘く見ない方がいい。

 いずれ内閣改造や党役員人事で新味を出せば、何とかなる-。もし、そのように安易に考えているとするなら、それこそ1強のおごりだ。今回の支持率急落を深刻に受け止め、謙虚な政権運営に努めるのか。それとも、数の力を頼る「1強政治」で突き進むか。引き続き厳しく見つめていきたい。


=2017/06/20付 西日本新聞朝刊=

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