衆院区割り施行 これで一件落着ではない

 国会はこれで一件落着と考えてもらっては困る。衆院小選挙区の「1票の格差」は当面是正されるが、一時しのぎにすぎない。抜本的改革は待ったなしだ。

 小選挙区定数を「O増6減」するとともに、19都道府県の97選挙区で区割りを変更する改正公選法がきょう施行される。1994年の小選挙区導入後、最大の改定であり、総務省も地方自治体も有権者に周知徹底してほしい。

 九州は熊本、鹿児島両県で定数が各1減る。福岡、長崎を加え4県の16選挙区で区割りが変わる。

 安倍晋三内閣の支持率急落で衆院解散は当面遠のいたとみられるが、任期満了の来年12月までに実施される次期衆院選から新しい区割りが適用される。

 今年1月1日現在の住民基本台帳を基に共同通信社が試算した結果、最大格差は1・955倍だった。最高裁が「違憲状態」と判断した2014年衆院選の2・13倍を下回り、2倍未満に収まる。

 しかし人口が都市部に集中し、地方は減少する傾向が続く限り、格差は早晩2倍を超える。異なる選挙区に分割される市区町も、福岡市の南区と城南区が加わるなど88から105に増える。

 法の下の平等に反する1票の格差はあってはならないが、小手先の是正はもう限界だろう。地方の議席ばかりが減れば地方の声が届きにくい国会になるし、選挙制度の課題はそれだけではない。

 政治改革の一環で政権交代を可能にするとして導入された現在の選挙制度の下で、これまで7回の衆院選が行われ、自民党から旧民主党、再び自民党へと実際に2度の政権交代が実現した。

 弊害も生じている。小選挙区の公認と政党交付金配分で政党執行部の権限が強大になった。4回連続で比例代表を含め全議席の6割以上が第1党に集中し「チルドレン」と呼ばれる政治経験の浅い議員が大量に誕生している。国会議員の資質や品格を問う声も強い。

 どんな選挙制度が望ましいのか。衆参両院の機能・役割分担も含めて改革の方向を見定めたい。


=2017/07/16付 西日本新聞朝刊=

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