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ロヒンギャ難民 スー・チー氏は収拾に動け

 ロヒンギャとは、ミャンマー西部のラカイン州を中心に暮らすイスラム教徒の少数民族だ。この人々が難民として隣国バングラデシュに逃れる事態が発生し、国連でも北朝鮮問題と並ぶほどの緊急課題として取り上げられている。

 ミャンマーは人口の約9割が仏教徒で、ミャンマー政府はロヒンギャを自国の民族と認めず、「不法移民」と位置付けてきた。

 今年8月にロヒンギャの武装集団が警察や軍の施設を襲撃したのをきっかけに、武装集団と治安部隊の衝突が激化した。400人以上が死亡し、巻き添えを恐れるロヒンギャ約40万人が国境を越えた。避難民は劣悪な環境下で厳しい生活を強いられている。

 避難民の証言などから、政府の治安部隊が混乱の中で、ロヒンギャに過度の暴力を振るっている可能性が指摘されている。国連の人権担当者は「典型的な民族浄化」として強く非難している。

 極めて残念なのは、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問が、この問題を事実上傍観してきたことだ。国際社会の失望は大きく、ノーベル平和賞剥奪を求める署名が起きているほどだ。

 スー・チー氏の消極的姿勢の背景には、軍との関係がある。国家運営で軍との協力関係を維持するために、軍への批判は避けたいのがスー・チー氏の本音だろう。

 また、国民の反ロヒンギャ感情が根強い中で、スー・チー氏がロヒンギャを擁護すれば、大多数を占める仏教徒の反感を買い、国民の離反を招く恐れもある。

 問題の拡大を受け、スー・チー氏は19日に演説し「全ての人権侵害を非難する」として、平和的解決を目指す意向を表明した。

 しかし、ロヒンギャへの市民権付与などの具体策は示されず、踏み込み不足との印象は拭えない。言い訳めいた発言も目立った。

 スー・チー氏も難しい立場だろうが、これほどの人道危機を放置し続けるのは許されない。軍と国民を説得し、まずは避難民を安全に帰還させるために、断固たる指導力を発揮してもらいたい。


=2017/09/22付 西日本新聞朝刊=

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