政治資金 透明性高め「抜け道」防げ

 政治にはどんなお金が集まり、何にどれだけ使われるのか-。

 私たち国民には容易にうかがい知ることができない世界だが、その一端が総務省の公開した2016年分の政治資金収支報告書で今年も明らかになった。

 政治資金には「迷路」のように複雑で分かりにくい点や規制逃れの「抜け道」が多い。政治への信頼を確保するために、透明性を高める制度改革が急務だ。

 今回の公表分は総務相が所管する政治団体3099の報告書だ。収入総額は1080億円、支出総額は1074億円に達する。これで全てではない。

 報告書を総務相に提出するのは政党や政治資金団体、二つ以上の都道府県で活動する政治団体で、いわゆる「中央分」だ。一つの都道府県内で活動する政治団体は、報告書をその都道府県選挙管理委員会に提出し、「地方分」として都道府県選管ごとに公表する。

 中央分と地方分に分けることが全体像を見えにくくする。同じ政治家でも中央と地方に複数以上の政治団体を持つケースは多い。

 16年は319億円が国庫から支出された政党交付金と企業・団体献金の「二重取り」も続く。

 不祥事の温床とされた企業・団体献金を制限する代わりに導入されたのが政党交付金で、企業・団体献金は2000年に禁止のはずだった。しかし禁止は政治家個人向けだけで、支部を含めた政党への企業・団体献金は温存された。

 何のための政党交付金創設だったのか。一連の「政治改革」の原点を政界は思い起こしてほしい。納税者の国民は忘れていない。

 政治資金パーティーも「国民の疑惑を招きかねないような大規模パーティーの自粛」を閣議決定した大臣規範が空文化している。

 16年には安倍晋三首相と10人の閣僚が収入1千万円以上のパーティーを開いた。「大規模」の定義が曖昧なのが抜け道になっている。確かに政治には一定の資金が必要だろう。だが、こんなに多額でないといけないのか。国民の素朴な疑問に政治は答えてほしい。


=2017/12/06付 西日本新聞朝刊=

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