森林環境税 「二重課税」にならぬよう

 荒廃が進む森林を整備する-という趣旨は分かる。だが、九州7県をはじめ全国37府県と横浜市は森林や水源の保全を目的に独自の税金を課している。「二重課税」になるとの懸念も少なくない。

 2024年度から創設される森林環境税のことだ。一定の所得があって個人住民税を納めている約6千万人が対象になるという。

 住民税に1人当たり年千円を上乗せして徴収する。年間約600億円の税収を見込み、税収の10%を都道府県に、残りを市町村に配る。各自治体への配分額は森林面積や人口などを基準に決める。

 林野庁は19年度から「森林バンク」制度を創設し、意欲ある林業経営者に放置人工林を貸し出して集約を進める。森林環境税の税収は森林バンクの運営財源などに充てることを想定している。

 具体的には市町村が所有者に代わって間伐したり、林業の担い手育成、木材利用の促進に充てたりする。他分野には転用できない。

 森林には地球温暖化や災害を防止する機能がある。一方で木材価格は低迷し所有者が不明の森林も増加しており、適正管理が難しくなっている。森林保全のため安定財源が必要な事情は理解できる。

 気になるのは、既に多くの都道府県が徴収している既存の税金との関係が判
然としないことだ。

 同じような税は、森林保全や再生のための財源として高知県が03年度に初めて導入した。熊本県の「水とみどりの森づくり税」のように名称が異なる府県もある。

 個人県民税などに一律300~1200円(九州7県は500円)を上乗せして徴収するのが一般的になっている。15年度の税収は福岡県の13億7300万円など全国で総額約310億円あった。

 使い道は主に荒廃人工林の間伐費に充てられ、植樹や作業道整備に使う自治体もある。

 納税者の理解を得るためには、自治体の独自課税との違いを明確にすべきである。使途や効果を広く周知する仕組みも欠かせない。無駄な事業が生まれないよう点検すべきことは言うまでもない。


=2017/12/27付 西日本新聞朝刊=

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