日本相撲協会 「組織統治」の抜本改革を

 何ともすっきりしない気分で、大相撲初場所(14日初日)を迎えるファンが多いのではないか。

 元横綱日馬富士関の暴行事件で、日本相撲協会が被害者の貴ノ岩関の師匠で事件の全容解明に非協力的な姿勢を示してきた貴乃花親方の理事解任を決めた。

 これで事件の関係者らの処分が一応終わった。とはいえ、ファンが心から納得できる幕引きには程遠いと言わざるを得ない。

 確かに貴乃花親方の責任は重い。事件を重く見て、師匠として「警察の捜査を優先する」という判断には理解できる面もある。

 ただし、自らが巡業部長として統率すべき秋巡業中に起きた事件である。協会への速やかな報告は当然の責務だ。

 危機管理委員会の調査協力要請も再三にわたって拒否した。説明責任を果たさず、一連の騒動を長期化させた責任は見逃せない。

 貴乃花親方には角界の現状に対する不満や不信があるともいう。ならば、沈黙するのではなく協会とファンに言葉で説明すべきだ。

 処分を巡って組織内に火種がくすぶっているとすれば、ファンが相撲を楽しめる状況ではない。

 際立ったのは、理事1人の対応に右往左往し、力士からまともに事情も聴けない協会のガバナンス(組織統治)の欠如である。

 協会は税制優遇措置を受ける公益財団法人だ。社会に開かれた透明性のある組織運営が求められるのは当然だろう。

 暴行事件に続き、今度は現役最高位の行司である立行司の式守伊之助による、10代行司へのセクハラ行為が明るみに出た。昨年12月、冬巡業中の出来事という。

 世間の厳しい視線が角界に注がれる中、情けない不祥事が起きていたことになる。角界全体に慢心や規範意識の緩みが広がっていると批判されても仕方あるまい。

 協会のガバナンス不全は、八百長問題などでも繰り返し問われてきた。理事の外部登用を進めるなど、抜本的な組織改革に取り組むべきだ。ファンの信頼をこれ以上踏みにじることは許されない。


=2018/01/12付 西日本新聞朝刊=

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