名護市長選 「基地容認」と言えるのか

 基地を巡る人々の心情の複雑さを見せられた思いがする。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設が最大の争点となった名護市長選が4日、投開票された。

 その結果、移設を進める安倍晋三政権が支援した新人の渡具知武豊(とぐちたけとよ)氏が、移設反対を訴えた現職の稲嶺進氏を破り、初当選した。

 安倍政権はこの勝利を「基地移設を容認する民意」と捉え、移設工事を加速させる構えだ。

 ただ、この選挙結果を単純に「基地容認」と受け止めていいのだろうか。そこはよく考えたい。

 今回の市長選で、渡具知氏は辺野古移設に対する賛否を明言せず「国と県が係争中の裁判を注視していく」と語るのみだった。

 同時に現市政を「移設阻止にこだわり過ぎている」と批判し、教育の充実や観光振興を訴えて有権者の支持を集めた。移設問題の争点化を避けた戦術といえよう。

 名護市では国政選挙、市長選や市議選のたびに辺野古移設を巡って市が二分されてきた。市民に「基地疲れ」「対立疲れ」が広がり、その他の政策の提示を求める心理につながったのではないか。

 また、辺野古の護岸埋め立て工事が着々と進む一方、反対運動の展望が開けず、反対派に無力感が募っているのも現実だろう。

 移転の是非だけでなく、地域振興への期待、長期化する対立への疲労感、国政の争点が地域に押し付けられることへの不満-。こうした思いが絡み合って選挙結果に表れたとみるべきではないか。

 政府には、この単純ではない民意にきちんと向き合ってほしい。

 昨年の総選挙では県内4小選挙区のうち3選挙区で辺野古移設反対派が勝利した。県民の心は揺れている。政府は市長選の結果を錦の御旗のように振り立て、移設を強引に進めるべきではない。

 沖縄の基地負担が過重であることは論をまたない。今回の市長選は政権側の戦術が奏功したが、この根本問題が解決されない限り、沖縄の怒りと不満は消えず、政権を揺さぶり続けるだろう。

=2018/02/06付 西日本新聞朝刊=

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