世界同時株安 実体経済への悪影響防げ

 米国発の株価急落が、世界の株式・金融市場を混乱させている。日米とも週明けの株価急落にいったん歯止めはかかったものの、不安定で荒い値動きが続いている。

 米国株は、景気の緩やかな拡大と低金利が共存する「適温経済」の下、最高値を更新しながら上昇してきた。市場の動揺が長期化すれば、企業心理や消費者心理を冷やし、実体経済にも悪影響を及ぼしかねない。国際的な株価急落が一時的な調整か、上昇相場の潮目の変化なのか、しっかり見極め、冷静に対応することが必要だ。

 今回の株価急落は、2日の米雇用統計で賃金の上昇率が高水準となったことが引き金となった。賃金上昇が物価上昇圧力を高め、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気の過熱を抑えるため利上げを加速するとの見方が広がった。利上げになれば米国債の価格が下がるため、米国債が売られ長期金利が4年ぶりの水準に上昇。金利上昇で適温相場も終わるのでは-との懸念で株価が下落した。コンピューターを使った自動取引が下落を助長したとの分析もある。

 米国株は昨年12月以降、トランプ政権の大型減税への期待から上昇が加速してきた。ダウ工業株30種平均は最高値更新を続け、1月4日には終値で2万5千ドル、同17日には2万6千ドルを超えて過去にないスピードで上昇していた。

 そのため、米国の株価が、企業収益に見合った水準を超えて割高だとの指摘もあり、その調整局面に入ったとの見方もある。

 日本株の急落は、米国株の急落で損をした外国人投資家などが日本株を売ることで穴埋めに走ったことも原因とみられる。

 もっとも米国も日本も企業業績は好調で経済指標も良好だ。ただ相場混乱の起点となった米長期金利の動向は注視が必要だろう。

 折しも米国ではFRBの新議長にパウエル氏が就任した。就任後「用心深くあり続け、変化するリスクに対応すべく準備する」と述べている。利上げの時期やペースについて、市場との対話を深め、慎重なかじ取りを求めたい。

=2018/02/08付 西日本新聞朝刊=

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