緊張感なき国会 「1強多弱」に安住するな

 国会の緊張感欠如が目に余る。憲法は「国権の最高機関」「唯一の立法機関」と規定するが、その自覚に欠けたような光景の連続に怒りと失望を禁じ得ない。

 第一義的な責任は政府と与党にある。緊張感を奪うのは自民、公明の与党が議席数で圧倒する「1強」に安住する空気ではないか。

 「働き方改革関連法案」に盛り込まれる裁量労働制拡大を巡り、安倍晋三首相が先月29日の答弁を撤回して陳謝したのは今月14日の衆院予算委員会だった。首相の答弁撤回は極めて異例だ。

 ところが、質問していた自民党議員は「誠実な答弁をいただいた」として、あっさり次の質問に移った。拍子抜けである。なぜ答弁撤回に至ったのか-与党なりに首相をただす方法もあったはずだ。

 「数の力」を前面に出す自民党は今国会でも野党の質問時間削減を求め、慣例化していた「与党2対野党8」を衆院予算委では「与党3対野党7」とした。

 ところが、与党には首をかしげたくなる質問が目立つ。首相の平昌五輪開会式出席について「インフルエンザで欠席する手もある」と進言した議員もいた。

 線香配布など公職選挙法違反疑惑で野党の集中砲火を浴びた茂木敏充経済再生担当相が隣席の野田聖子総務相と談笑する姿もテレビの国会中継で流れた。公選法を所管する野田氏を含め、質疑の矢面に立つ意識はなかったのか。

 江崎鉄磨沖縄・北方担当相は答弁の言い間違えと訂正を繰り返す。沖縄県で相次ぐ米軍ヘリコプターの不時着を巡り本会議で「それで何人死んだんだ」とやじを飛ばした自民党の松本文明氏は内閣府副大臣の辞任に追い込まれた。

 失態が続いても通常国会は極めて順調に進んでいる。政府も与党も「1強」だから何でも許され、どんな法案も成立させられると勘違いしていないか。

 野党も工夫が足りない。「多弱」の野党が似たような質問をしても、首相ら政府側は同じ答弁を繰り返すだけだ。国会に緊張感を呼び戻すのは野党の責任でもある。

=2018/02/17付 西日本新聞朝刊=

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