米高校乱射事件 いつまで悲劇を繰り返す

 何度悲劇を繰り返しても無策を決め込む国を「偉大な国」などと呼べるはずがない。むしろ「異常な国」ではないか。

 米南部フロリダ州の高校で14日午後、19歳の男が銃を乱射し、生徒ら17人が死亡した。犯行に使われたのは殺傷力の高いライフル銃で、容疑者はこの銃を合法的に購入していたとみられる。

 またか、とため息が出る。

 米国では銃乱射による大量殺害事件が後を絶たない。2012年にはコネティカット州の小学校で子どもら26人が犠牲になり、昨年10月にはラスベガスで58人が死亡する事件が起きている。

 誰が考えても、米国社会における銃のまん延が最大の要因だろう。ところが米政界では抜本的な銃規制論議が一向に進まない。日本など他の先進国から見れば、全く理解に苦しむ無策ぶりである。

 事件のたびに、民主党などから銃規制強化を求める声が上がる。議会で共和党が強く反対し、手詰まり状態になって、議論が下火になる。その繰り返しだ。

 背景として指摘されるのが、全米ライフル協会(NRA)の影響力だ。米国屈指のロビー団体として銃規制反対を政党や議員に働き掛けている。トランプ大統領も大統領選でNRAの支持を受けた。

 また米社会には保守層を中心に、自衛が原則だった建国時代の精神の象徴として、銃所有の権利にこだわる意識も根強い。

 しかし、警察組織が未発達だった建国当時と今では事情が全く違う。米国には推計約2億7千万丁の銃が存在し、年間3万人超が銃で命を奪われているという。この現状を放置するのは不可解だ。

 トランプ大統領は事件後、学校の安全対策を「最優先課題にする」と表明したが、銃規制の必要性には触れなかった。規制に積極的に取り組む気はなさそうだ。

 銃に執着する国民意識を変え、圧力団体の影響力を排して本格的な銃規制に取り組まなければ、いずれ次の悲劇が起きるだろう。「偉大な国」を唱える前に、まず「正常な国」を目指してほしい。

=2018/02/17付 西日本新聞朝刊=

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