無電柱化 「バリアフリー」の拡大に

 電柱を地上からなくし、電線を地中化することを「無電柱化」と呼ぶ。景観の向上だけでなく、歩行者や車いすが通行しやすくなるバリアフリー化につながる。電柱が災害時に倒壊し、避難路を防ぐ心配もなくなる。

 政府は2020年の東京五輪・パラリンピックを契機に、国内全域で無電柱化を促進する新たな計画を策定している。

 日本では終戦後、復興を最優先するため、安価で早く工事が済む電柱を全国各地に設置してきた。今、国内には約3550万本の電柱があり、道路新設に伴って年間約7万本ずつ増えている。

 無電柱化は1986年から幹線道路を中心に進められてきた。しかし、その比率はパリやロンドンが100%なのに対し、東京23区でも8%にすぎない。九州7県はいずれも1%前後だ。政令市でも福岡市が約3%、北九州、熊本両市は約2%にとどまっている。

 無電柱化を阻む壁の一つはコストだ。電線の地中化には道路1キロ当たり約5億円かかるという。3分の2は国と自治体、残りは電力・通信など事業者の負担だ。

 国土交通省は工法の工夫で最大7割を削減する実験を続けている。関連企業などと協力し、低コストの工法を開発してほしい。

 住民の理解も欠かせない。電柱をなくす代わりに、歩道などに変圧器を設置しなければならず、生活の邪魔になる恐れがある。

 小型化などを図ると同時に、無電柱化のメリットをもっと住民に周知する必要がある。東日本大震災では約5万6千本の電柱が倒壊し、復旧活動の妨げになった。

 一昨年に施行された無電柱化推進法は、災害防止、円滑な交通、良好な景観形成などの基本理念を掲げ、国や自治体、事業者の責務をそれぞれ定めた。

 政府は、車道への電柱設置を一部禁じる道路法の規定の対象を歩道にも拡大するなど、新たな法整備も検討するという。

 バリアフリー社会の創出は、超高齢社会の要請でもある。着実に取り組んでほしい。

=2018/02/21付 西日本新聞朝刊=

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