参院選合区解消 憲法改正が必要な問題か

 参院選で二つの県を一つの選挙区にする「合区」の解消が憲法改正になじむのか。やはり、そもそもの疑問を禁じ得ない。

 自民党は、「改憲4項目」の一つに掲げる合区解消の改憲案を参院憲法審査会に提示した。憲法審で自民党が改憲案を具体的に表明するのは初めてである。

 9条への自衛隊明記、緊急事態条項、教育拡充を加えた4項目の中で党内論議が最も進んでいるということらしい。本当だろうか。

 憲法審では野党はもちろん、「改憲勢力」とされる公明党や日本維新の会からも反対論が噴出した。自民党内の改憲論議の不十分さを改めて露呈したといえよう。

 合区解消に向けた自民党案は、憲法47条に「参院選は広域の地方公共団体(都道府県)を選挙区とする場合、改選ごとに少なくとも1人を選挙」と規定する。

 衆参の選挙区に関して「人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性などを総合的に勘案」とも明記する。複数の衆院小選挙区に分割されている市区町村を解消する狙いもあるようだ。

 確かに合区や市区町村分割は住民には違和感が強い。しかし、選挙区間の「1票の格差」を是正する苦肉の策として国会が導入した経緯も忘れてはならない。

 憲法14条に基づく投票価値の平等をどう具現化するか。一方で大都市に人口が集中する中、定数を人口で割り振れば地方の議席は減るばかりだ。合区や市区町村分割も拡大するだろう。二院制の在り方を含め課題は山積している。

 そうしたことも自民党内で熟考した上での改憲案なのか。強固な基盤を誇る地方の議席を守るため、安倍晋三首相が悲願とする改憲の項目に性急に盛り込んだだけなら、党利党略と呼ぶほかない。

 論議の順番も違う。憲法審で自民以外の各党議員は口々に「改憲でなく選挙制度改革で結論を得るべきだ」と述べた。その通りだ。

 制度改革でどうしても必要なら憲法に立ち返って考える-それが常道だ。合区解消問題に限らず改憲ありきの姿勢は説得力を欠く。

=2018/02/23付 西日本新聞朝刊=

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