認知症と運転 長寿社会支える仕組みを

 高齢者は何歳まで車を運転していいものか。長寿社会での切実な課題の一つである。

 死亡事故を起こした75歳以上のドライバーの2人に1人が、認知症や認知機能低下の恐れがあると判定されていた‐。そんな実態が昨年1年間の事故を対象とした警察庁の集計で分かった。

 75歳以上の運転者については免許の更新時や、信号無視など一定の違反があった時に、認知機能検査が義務付けられている。

 検査では動物など複数のイラストを見て記憶力などを確認する。認知症の恐れがある「第1分類」になると、医師による検診が必要だ。認知症と診断されれば、免許は取り消しか停止になる。

 認知機能低下の恐れがある「第2分類」になると、実車などの講習を受け、免許を更新できる。認知機能に問題のない人は「第3分類」とされる。

 昨年1年間に、検査を受けた後に死亡事故を起こしたのは385人に上った。このうち第1分類は28人、第2分類は161人の計189人(49%)だった。

 第1分類の人が運転できたのは、認知症の検診が遅れたケースなどとみられる。警察庁は3カ月以内に受診し、診断書を提出するよう求めている。さらに迅速化が必要だろう。

 第2分類の人も次の3年後の免許更新までにフォローする必要はないのか議論を重ねたい。これまでの対策だけでは事故を防止できていないのが現実だ。

 75歳以上の人による免許の自主返納件数は昨年、25万件余と過去最多になった。

 とはいえ、車を運転しなければ買い物や通院ができない地域も少なくない。外出の機会が減れば、心身への影響も心配される。地域内を周回するコミュニティーバスなどを拡充する必要がある。自動運転車の開発にも期待したい。

 個人差はあるものの、一般的に認知機能は年齢とともに衰える。事故を起こさないためには何が最善か。高齢者を支える仕組みづくりがさらに求められる。

=2018/03/06付 西日本新聞朝刊=

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