送電線有効活用 弾力的な運用ルール作れ

 太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの活用を巡り、発電所から電力を送る送電線の「空き容量」に注目が集まっている。

 電力大手は落雷などによる突発的な停電を避けるため、容量の50%を予備として空けている。

 これに対し、再生エネ事業者などから「新発電所を造りたいが、電力会社から送電線に空きがないと言われた」「本当に満杯なのか。自前で送電線の増強費を出すのは無理」などの批判が出ている。

 擦れ違う主張に、経済産業省も有識者会議で新たな送電網の運用ルールの検討を進めている。安定供給を第一に、弾力的な運用で有効活用していきたい。

 電気は生産(発電)と消費が同時に行われ、刻々変動する電力消費量に合わせて供給する電力量を一致させ続ける必要がある。これが崩れると周波数や電圧が乱れ、最悪の場合、停電につながる。

 さらに電気を送る送電線運営については、高度成長期以来、個々の発電所がフル稼働していることを前提に、空き容量の有無を判断し、送電網の設備増強が必要か否かを決めてきた。

 しかし、現実には送電線に常に限度いっぱいの電気が流れているわけではない。現状では停止中の原発などもあり、実際には空きがある。また、送電網は1回線が故障しても停電しないよう、1ルートを2回線以上で構成し、1回線分を空けているのも通例だ。

 送電線の空き容量問題は、国のルールに基づいて停電回避に対応している電力大手と、より実態に即した運用を求める再生エネ事業者などとの見解の相違といえる。

 再生エネ導入の拡大には、コストのかさむ送電設備増強よりも、まず既存の送電網の有効活用が大切だ。有識者会議では、緊急時用に空けている容量の上手な活用や、既存の発電所が発電していない時間帯などの隙間を使って、送電網により多くの再生エネをつなぐ仕組みなどを検討中という。

 再生エネは出力変動も大きい。安定供給を損なわずに普及を促す送電線活用の方策を探りたい。

=2018/03/07付 西日本新聞朝刊=

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