中国国防費 大国の軍拡競争は危うい

 中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が始まった。国務院が発表した2018年度予算案によると、注目の国防費は前年度比8・1%増の約1兆1069億元(約18兆3700億円)となった。日本の防衛費(18年度予算案)の約3・5倍である。

 国防費の伸び率は前年度伸び率より約1ポイント高まった。国内総生産(GDP)成長率を上回っており、経済成長を超えるような軍拡路線を改めて鮮明にしたといえる。李克強首相は政府活動報告で「揺るぐことなく中国の特色ある強軍の道を歩む」と強調した。

 その視線の先にあるのは米国である。中国の習近平主席は昨年の共産党大会で「今世紀半ばまでに世界一流の軍隊をつくり上げる」と宣言した。米国と同等の軍事力を目標に、軍の機構改革や新たな兵器の開発に乗り出している。

 中国は空母の建造や就役を進め、西太平洋やインド洋を意識した海軍力増強に余念がない。ミサイル能力向上も著しく、人工知能(AI)の軍事利用にも熱心だ。

 中国の場合、軍事の研究開発費は国防費に含まれていないとみられ、軍事費の総体が公表分を大きく上回る可能性も指摘される。

 こうした中国の軍拡路線に、トランプ米政権は国家防衛戦略で「中国は地球規模で米国の主導的地位に取って代わろうとしている」との認識を示すなど、警戒感を隠さない。大国間競争に勝ち抜くため、財政収支の黒字化を断念しても国防費を増額させる方針だ。

 一方、ロシアのプーチン政権は「対米国」で中国と足並みをそろえるかのように、核戦力向上の強硬路線を打ち出している。

 米中ロが互いの動向を警戒し、軍備拡張に走る構図である。まるで冷戦期の際限のない軍拡争いを見るような思いがする。

 まずは中国が国防費の透明度を高め、国際社会が納得できるような軍事政策を取るべきである。大国間の疑心暗鬼が高じれば、世界は不安定化し、危険度は増す一方だ。「喜ぶのは軍事産業だけ」といった軍拡競争はごめんである。

=2018/03/07付 西日本新聞朝刊=

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