大火砕流27年 教訓生かし対策と警戒を

 43人が犠牲になった雲仙・普賢岳(長崎県)の大火砕流発生からきょうで27年となる。当時は火砕流という言葉すら一般に知られておらず、活火山への警戒感も今ほど強くはなかった。

 日本列島ではその後、連鎖するかのように火山噴火が相次いだ。九州では今年4月、霧島連山・硫黄山(宮崎県)が250年ぶりに噴火した。普賢岳の教訓を改めてかみしめたい。

 火山活動を警戒する上で前提にすべきことがある。事前の避難につながる噴火の予知技術は確立されていない点だ。防災・減災のために、さまざまな工夫と対策を重ねる必要がある。

 長野県では今春、新たな試みが始まった。戦後最悪の火山災害となった2014年の御嶽山(長野、岐阜県境)噴火を教訓にした取り組みだ。

 気象庁が出す噴火警戒レベルが最低の1の状態でも自治体が独自に御嶽山への立ち入りを規制するルールを作るという。地元の木曽町と王滝村が、長野県と協力して御嶽山の防災力強化計画に方針として盛り込んだ。

 警戒レベルは住民らが対応すべき指標として5段階で発表される。5は避難を促す一方、1は活火山であることに留意するだけで特段の規制はない。

 御嶽山噴火は63人の死者・行方不明者を出した。噴火の前兆とも取れる現象は起きていたが、データ不足のため警戒レベルは1に据え置かれた。

 市町村長は警戒区域を設定し立ち入りを制限する権限を災害対策基本法で与えられている。とはいえ、自治体のみで的確な判断を下すことは困難だろう。国や県、研究機関の適切な支援が欠かせない。

 その意味で気象庁が先月創設した防災対応支援チームに注目したい。火山など自然災害の各分野で専門性の高い職員を登録し災害前や災害発生時に自治体へ派遣する。大災害が頻発する時代の要請ともいえるだろう。

 全国には111の活火山があり、うち17は九州にある。まさに火山列島だ。一方で火山の専門家は不足している。これを補うため長野県などは知識が豊富な市民を火山マイスターに認定し、防災啓発を進めている。

 活火山のある地域は多くが温泉などに恵まれた観光地でもある。ともすれば風評被害を警戒するあまり災害のリスクを低く見積もろうとしがちだ。しかしリスクにきちんと向き合っていなければ、いざという場合の対応は困難だ。正確な情報を発信してこそ、平穏時に多くの人が安心して訪れるのではないか。

 日本列島で火山との共存は避けられない現実である。過去の教訓を生かし、日頃から警戒を怠らないように心掛けたい。

=2018/06/03付 西日本新聞朝刊=

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