水産業の将来像 「構造改革」で成長産業に

 日本の水産業を持続的に発展させるためには、どんな改革が必要なのか。漁業や養殖業など水産業を成長産業とするための改革案を水産庁がまとめた。

 漁獲量の管理を厳しくして資源の回復を図るとともに、漁業権の規制を緩和して養殖業などに民間企業の新規参入を促すことなどが柱だ。

 伝統的に漁業者の自主管理が原則だった日本漁業が体系的な資源管理に乗り出し、外部の風も入れて水産業の基盤を強化する方向性を支持したい。日本の水産業は旧態依然で閉鎖的といわれてきた。持続的発展に向けた構造改革の第一歩としたい。

 日本の漁業・養殖業の生産量は1984年の1282万トンをピークに、2017年には430万トンと3分の1に減少している。漁業就業者も約15万3500人と、過去20年間で4割以上減った。沿岸漁業の所得も230万円台に低迷し、高齢化や後継者不足も深刻だ。

 生産高の減少は、地球温暖化や、各国の排他的経済水域(EEZ)設定による遠洋漁業の縮小、わが国のEEZに隣接する公海での外国漁船の漁獲増など数々の原因が指摘されている。だが、大きな要因の一つは、未成魚の捕獲が多いなど日本が適切な水産資源の管理を怠ってきたことにあるとされる。

 このため、改革案は漁獲規制の強化と養殖業のてこ入れによる生産量増加を目指している。

 まず資源管理の軸足を従来の漁船の大きさや漁具などの制限から、漁獲量そのものの制限に移す。現在はサンマなど8魚種に限っている漁獲可能量(TAC)制度の対象を順次拡大し、対象魚は漁船ごとに漁獲枠を割り当て、違反には罰則も導入する。資源状態を調査する魚介類の種類も大幅に増やす方針だ。

 一方、地元の漁業協同組合へ優先的に付与してきた漁業権を、漁協や既存漁業者が有効活用している場合は継続するものの、有効活用されていない水域がある場合は、都道府県知事の判断で新規参入を認める。

 これにより企業などの参入障壁が下がり、養殖業の規模拡大や新技術の導入、生産性の向上を進めたいとしている。漁協の販売力強化や収支の情報開示などの諸改革も打ち出した。

 さらに検討を求めたいのは水産予算の効果的な使い方だ。漁港整備など公共工事も必要だが、資源調査や管理はもとより、魚を生産者から消費者へ届ける流通・加工網の整備支援、魚食文化の普及や漁村の活性化策にも力を入れてほしい。

 九州は良好な水産資源に恵まれ、漁業が盛んな地域である。改革に知恵を絞り、水産業の再生に率先して取り組みたい。

=2018/06/10付 西日本新聞朝刊=

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