党首討論 「歴史的使命」果たすには

 自分たちが作った制度なのに、成果を出すための前向きな努力も工夫もせず、ただ無責任に投げ出す。そうであれば身勝手な言い分にしか聞こえない。

 国会の党首討論のことだ。軽々しく「歴史的使命は終わった」と言い放った自民党総裁の安倍晋三首相と立憲民主党の枝野幸男代表は猛省してほしい。

 国会改革の一環で2000年に本格導入された党首討論がこのところ、十分に機能していないのは事実だ。原則週1回が守られず、14年には与野党で月1回を申し合わせたが、昨年は1回も開かれなかった。

 だからと言って、与野党の党首が一対一で国の在り方や重要政策を議論することに意義がないと決め付けるのは早計だ。

 どうすれば効果的で意義深い討論にできるか。党首はその方策にこそ力を注ぐべきである。

 今国会では5月30日と6月27日に党首討論があった。5月の討論終了後に「歴史的使命は終わった」と怒ったのは枝野氏だった。枝野氏の持ち時間19分のうち、首相が思い出話や聞かれてもいないことを12分も話し続け、3回しか発言できなかった不満をぶちまけたのだ。

 その意趣返しだったのか、6月の討論で枝野氏は6分にわたり政権批判をまくしたてた。反論しきれなかった首相が討論の中で「歴史的使命は終わった」と吐き捨てるように言った。

 見苦しい応酬である。党首としても国会議員としてもあるまじき、大人げない振る舞いとしか言いようがない。

 党首討論とは何か。衆参両院の「国家基本政策委員会」合同審査会という正式名称の通り、与野党が国政の論点を明確にして国民の理解を深め、場合によっては一定の方向性を見いだして、国の基本政策を前進させる場である。

 首相と枝野氏のやりとりを目の当たりにした日本維新の会の片山虎之助共同代表は「制度を育てるなら、在り方や時間を本気で考えないといけない」と指摘した。同感である。自民党の小泉進次郎氏ら中堅・若手を含む超党派議員グループも制度改善を論議するという。

 1回の討論が全体で45分では野党が「多弱化」する中、各党の持ち時間は数分から十数分と細分化される。これでは十分な討論ができない。定例化もぜひ実現する必要がある。

 ただし、どんなに改善しても党首自身の政治姿勢が厳しく問われるのは言うまでもない。

 首相には野党党首と真正面から向き合って討論する姿勢を求めたい。野党の党首もまた、政権担当能力が試されるという緊張感が必要だ。「歴史的使命」は決して終わっていない。

=2018/07/03付 西日本新聞朝刊=

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